ヒーコのディレクション部門でマネージャーを務める増谷さんは、公務員、Webディレクター、フォトグラファーとしての経験を経て、2022年1月にヒーコに入社しました。
さまざまな業種でのキャリアを、現在のヒーコでどのように活かしているのか、また、マネージャーとしてメンバーをどのように導いているのか、お話を伺いました。
建築職の公務員からキャリアをスタート
―― 増谷さんはこれまでさまざまな業種でキャリアを積んできました。
社会人生活は建築職の公務員としてスタートしました。学生時代に「普通の建築の仕事は自分には合わないと」思い、やや不純ながらも公私のバランスを保つことを優先に考え、公務員になることを選びました。
大学で建築学を学んでいたのと、それ以外の取り柄もなかったので、自然な流れで建築の職に就きました。しかし自分が理想とする未来はどのようなものかを考えたときに、「ここにはない」というモラトリアム期特有のモヤモヤを抱えることになり、悩む日々が続きました。
そんな感じで、自分のスキルや時代の生き残り方を模索していたとき、コンパクトカメラを使い写真を撮ることが好きだったことを思い出しました。プロのフォトグラファーになるとまではいかないにしても何かしら道は開けるんじゃないかと、藁にもすがる思いで一眼レフを購入し、SNSを通じて様々なコミュニティに参加するなど、写真撮影にのめり込んでいきました。結果「写真あるいはそれに関連することを仕事にするのもアリだな」と考えるようになりました。
Web制作会社での経験
―― 最初の転職先はWeb制作会社だったとか。
そうなんです。写真活動をする中でプロのフォトグラファーになる選択肢も脳裏をよぎりましたが、何かを捨てて、それこそ若いうちから本気で活動している人たちに、自分が取って代わる未来を描けるほどドリーマーにはなれませんでした。ですが、写真に関わる仕事をしたいという思いは捨てきれず、可能性を模索した結果、友人のつてで「Web制作」の業界を知ることとなり、公務員として働きながらWeb関連のスキルを身に付け、転職しました。
―― Webディレクターからフォトグラファーに転職されたと聞いています。
転職先のWeb制作会社は居心地が良かったですし、上司も同僚も良い人たちばかりで本当に環境には恵まれていました。キャリアの悩みの契機はコロナでした。在宅ワークのために一人で考える時間が多くなり、「自分がこれから成せることは何なのだろう」と、ディレクターとしての調整業務以外の『プラスα』のスキルを持っていないことに悩むようになりました。
ひとえにWebディレクターといっても、元デザイナー、元エンジニア、元フォトグラファーなどさまざまなバックグラウンドを持つ人がいます。そういった武器や個性がある人は外に出てもおそらく引く手数多なのですが、僕にはなかった。なので自分の武器を持つために、結局、一度はないと思っていたスタジオフォトグラファーへの道を選びました。
ヒーコは写真を主軸に広告業に関われる希有な存在
―― 写真業界で活躍する中、ヒーコに転職した理由は?
公務員時代に写真を始めた頃から、ヒーコの記事を読んでいました。転職後に勤めていたスタジオでも今後のキャリアを模索しながら日々努めていたのですが、ある日スタジオの同僚から「ヒーコの黒田さんが人材を募集している」と教えてもらい、面白そうと思いSNSでDMを送って応募しました。ヒーコほど写真を前面に押し出す制作会社を知らなかったので、僕にとってヒーコはこれまでのキャリアをもっとも発揮できそうで、自らの未来像を描ける希有な存在でした。色々と想いを馳せ面接に臨んだところ内定をいただき、2022年1月に入社しました。
―― 入社後に驚いたことは?
小さな制作会社なのに、想像していた以上に社内インフラがIT化されていることです。代表の黒田が元エンジニアということもあり、エンジニア思考が業務全体に息づいています。例えば、顧客管理や営業効率化に活用される「Salesforce」などが驚くほどカスタマイズされた上でフル活用されており、非常にシステマチックな会社だと感じました。

P=Ryoji Iwata(XICO) D=Masuya Hirokazu(XICO)
Ph=Akiomi Kuroda(XICO) HM=Konatsu(XICO)
ST=Michiko Saito MO=Taya,Andre
業務の進め方と成長したこと
―― ヒーコでの業務は、Webディレクター時代と違いはありますか?
業務遂行の面では大きな差は感じませんでした。ただ共通言語が異なればタスクのフローも異なるので、最初のうちは本当に体当たりで壁を壊しながら進んでいました。慣れるのに苦労しましたね。
文化の面で違ったことは、ヒーコに入社してからは「自分の意思」や「行動の理由」の言語化を求められることが多いということですね。というのも、公務員時代に私がやっていた仕事は、法律や条例、国の仕様書などに載っている『答え』に、いかに早く到達できるかというゲームだったので、答えから逆算するクセがついていました。今思えば、Web制作会社でも、トップダウンのクセを無意識に発揮して、同僚や上司に迷惑をかけていたかもしれないと、思い出すたびに震えています。しかしヒーコではそのクセは全く通用せず、入社当初は「答えがあると思うな」と何度も怒られましたね。言うなれば公務員時代にロボットになり、Web・写真業界で人間の心を取り戻し、ヒーコでようやく正しくビジネスマンになれたという感じです。

P=Ryoji Iwata(XICO),Sayaka Murakami(XICO) D=Masuya Hirokazu(XICO)
Ph=Ramon Onizawa HM=Konatsu(XICO)
ST=Saori Nonaka(HIROME) MO=NATALIA P(TOKYO REBELS)
クリエイティブな業務につながる福利厚生
―― ヒーコの福利厚生は活用していますか?
自分を含めた2名まで、映画代と館内の食事代を会社が負担してくれるのはとても魅力的です。おかげさまで、以前よりは映画を観に行くようになりました。と言っても、元々5年に1回映画館に行くか行かないかのペースが三ヶ月から半年に一回観に行くようになった程度で、ほかのメンバーと比べたら少ないですけど(笑)。
映画は映像業界の最高峰で、カット割やライティング、カメラワークなど勉強になる要素が多く詰まっています。クリエイティブに対する目も非常に良くなるので、仕事には大いに役立っていると感じています。
ほかにユニークだと感じている福利厚生は、仕事に関係する本を申請すれば会社が購入してくれる制度です。オフィスには推薦図書コーナーがあり、マーケティングやデザイン、ビジネスに関する本など、幅広いジャンルの本が並んでいますが、そこになくても読みたい本を申請すれば購入してくれるのはいい制度だと思っています。
頑張ってる人が評価されないことがない
―― ヒーコの人事考課制度について教えてください。
会社なので、当然数字で定量的に判断される部分は多分にありますが、評価自体はそれだけで決まるわけではなく、多様なレイヤーに分かれています。大きな会社では上司が部下を見きれず書類で判断されるため、努力が評価されにくいというのは良く聞く話ですが、小さい会社だからこそ、数字には出にくい正当な努力値を、代表含めて全員が見てくれているのは良い点だなと思います。
マネージャーとしてチームをまとめながら現場の仕事にも取り組める環境

Still&Movie Contents Produce
P=Akiomi Kuroda(XICO) D=Hirokazu Masuya(XICO)
PMO=Mizuki Aoi(XICO) Ph=Masashi Yamada

D=Hirokazu Masuya(XICO)
PMO=Mizuki Aoi(XICO)
Ph=Yuki Masumura
―― 増谷さんは現在、ヒーコのマネージャーとして活躍されています。
転職が多かったため、人生においてヒーコで初めてマネージャーになり、部下を抱えることの難しさを学んでいます。マネージャーとはいえ、ヒーコは小規模な会社で大企業ほど縦割りの組織編成ではないので、世の中のマネージャーの人たちとはまた違う難しさなのかなと思っています。
いわゆるプレイングマネージャーという立ち位置ですが、さまざまな案件に関わりながら、チームマネジメントの他多種多様なことも同時に学び、会社やチームと一緒に成長できる今の環境は、好奇心強めの自分の性格には合っているのかなと感じます。
―― マネージャーになってから、ご自身の変化を感じますか?
案件が走り出すと自分の案件の与えられた役割を淡々とこなし続けるタイプでしたが、以前よりは周囲の状況に目を配るようになったなと感じています。否が応でも横の連携をしないと、自分を含め誰も幸せになれない環境なので。おこがましい言い方ですが、周囲に声をかけるように意識するようにはなったなと、たまにハッとします。これが大人になるということなのでしょうか。
一つ一つを丁寧に教えるのが得意なタイプではなく僕もまだ未熟なので、まだ見ぬ未来の同僚も含め、この社会で生き残れる人材になれるよう、今後も切磋琢磨できると嬉しいですね。
―― 今後はどのような仕事をしていきたいですか?
2025年1月に、オフィスが恵比寿に移転し、新しいオフィスにはギャラリーとスタジオが併設されました。ヒーコのスタッフ以外の方々と関わる機会が増えるであろう機会に、とてもワクワクしています。
井の中の蛙でいることが嫌いなので、社外の方と関わることで知見を広げ、また「自分ができないことをできる人」と知り合うことで、ふんどしを締めなおすきっかけを作る。そうすることで自分の可能性が広がっていくことが、仕事における今後の楽しみです。