広告制作会社勤務を経てニューヨークに渡米。帰国後フリーランスデザイナーとして活動。 2013年よりドイツの首都ベルリンに活動拠点を移し、写真家としても活動を開始する。 デザイナーとしてのスキルを生かしたグラフィカルな写真表現を得意とし、近未来的な夜景、歴史的背景とストーリーを持つ廃墟を撮影、近年では日本の美を精力的に撮影している。 拠点であるベルリン、出身地である東京を中心に国内外で作品展示を行う傍ら、ファッションブランドを中心に企業案件、広告撮影を行っている。
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被写体
私にとっての主な被写体は都市や風景、そして人物です。
本格的に写真を撮るようになったのはベルリンに移住してからのことです。当初は出身地の東京と相反する美しい自然、そして東西分断によって残された廃墟を撮影していました。(著書「Silent World」に掲載しています)
移住してから1年後、日本に一時帰国した際に、ベルリンの緑が多く落ち着いた景色とは対照的な、東京という大都市のエネルギー、躍動感、夜景に魅力を感じるようになりました。その他にも、日本の文化や伝統、四季折々の美しさなど日本に住んでいた頃には気づけなかった景色に目がいくようになりました。そこから現在は東京という強大なエネルギーを持った街や、日本全国の魅力あるものを撮影しています。
また最近では、過去に撮影で訪れたアラブの砂漠、スイスの雪山など日常からかけ離れた風景にも魅力を感じています。自分の生活と比べて非現実的な景色に惹かれているのかもしれません。
機材
カメラはCanon Eos 5D mark4を使用しています。理由はCanonの発色が好みであること、上位機種の1DXも魅力的ですが5Dは本体のサイズと画素数のバランスが良く、カメラバッグ一つで旅をする自分のスタイルに合っていますね。ミラーレスへの乗り換えを何度か検討しましたが、まだこれだという機種に出会えていません。
メインのレンズは70-200mm f2.8で、ストリートスナップ、風景、ポートレート撮影に使用します。その他に50mmは主にポートレート撮影で使用し、風景写真、夜景撮影には16-35mmを使用します。撮影旅行の際には大三元レンズと12-24mmと50mmを携帯しています。
その他の機材としては、35mmと中判のフィルムカメラ、空撮用のドローン、旅行中の動画撮影や日常の写真を撮るのにiPhone11 Pro maxがあります。
機材とは少し違いますが、自分の撮影に欠かせないのが自然光です。作品の撮影は自然光での撮影がメインで、風景写真は朝日と夕日の時間帯、ポートレートは夕方に撮影することが多いです。この時間帯は光がソフトなので雰囲気のある、日中とは異なった写真を撮影できるのでいいですね。ポートレートでは夕日を逆光に撮影すれば、被写体をよりドラマチックに演出できます。他にも感動的な朝焼けや夕焼けに出会えたり、朝は霧が出て幻想的な風景を撮ることができたりと、この時間帯でなければ撮れない写真はたくさんあります。
理由
私が写真を撮り続けている理由は、シンプルに写真の撮影が好きで情熱を持っていることもそうですが、SNSの存在が大きいと思います。
ベルリンに移住してから一眼レフカメラを買いましたが、その理由もベルリンの風景やライフスタイルを日本にいる家族や友人とシェアしたいからで、撮った写真を公開するのもFacebookで繋がっている人だけでした。その後Instagramに出会い、知人の枠を超えて写真の公開を始めました。ハッシュタグの効果もあり、大きなアカウントにシェアされたり、ライクやコメントの数が増えたり、他のフォトグラファーとも繋がったり、としているうちに次第に写真の世界にのめり込んでいました。次第にお仕事や展示、写真集などの案件についてご連絡を頂くようになり、サポートしていただける多くの方々や、SNSの先にいる自分の写真を楽しみにしてくれている人たちのおかげで、現在まで写真を撮り続けています。
理想
自分の才能と情熱を生かし、色々な人が楽しみ、驚き、喜びを感じられる作品を撮ること、世界の人々を幸せにできるような活動を続けられることが理想の写真家像です。時間は有限なので、理想に近づくために写真に関わること以外へ時間を費やさなくなりました。お酒や、一般的に娯楽と言われる事をしなくなり、不必要な外出、人付き合いもしていません。
生活リズムや習慣も撮影に合わせるようになりましたね。撮影のために真夜中に起きる必要があり、そこから自然と早寝早起きになりました。他にも、体力づくりのために毎朝ジョギングをしています。以前、山の頂上で撮影をしようとしたことがあるのですが、頂上に到着した時には疲れすぎて撮影どころではありませんでした。その出来事が悔しくて、それ以降ジョギングは続けています。
さらに、自分の内側も変えられるよう努力しています。特に旅行中ですが、人との出会いから奇跡的な出来事が起こることが多々あります。そのため、些細なきっかけでも人に話しかけるようになりました。基本的にシャイなため、話すことに苦手意識もありますが頑張っています。また、自分のようなフリーランスの写真家は、仕事がない時や収入がない時でも自分の価値を下げないために動き続けなければなりません。自分を信じる力、状況を変えるため行動に移す力も昔よりついたように思います。
理想の写真家を目指すこととは、素晴らしい人間になることなのかもしれません。まだまだ理想とは遠いですが、写真を始める前の自分と比べると肉体的にも精神的にも成長出来ていると思います。世界の人々に幸せを届けるためには、より理想に近づいて社会的な影響力も持った写真家になりたいですね。
発信
私にとって、撮影をすることと撮影した写真を世の中に発信することはイコールです。自分の撮影・表現の根底には「こんな場所、こんな景色があるぞ」ということをシェアしたいという想いがあります。その結果、自分が撮影した写真はSNSや展示、写真集を通してその写真を見ていただける人たちと繋がっています。もちろん世の中に発信しない、作品にならない写真もたくさんありますが、そういった写真もLINEやプライベートアカウントで家族や友人たちとシェアしているので私の写真の先には常に誰かが存在しています。
そのため、もしもSNSがなければ私の写真との向き合い方は大きく変わっていたと思います。SNSに投稿する作品は少なからずライクがつくことを考慮して、本来の写真の定義とは少し異なった、エンターテイメント性の強い作り込んだ写真です。これがもしSNSがない世界なら、今のスタイルとは全く異なる写真を撮っていることも十分考えられますし、今のキャリアもSNSがきっかけとなってできたものなので、自分の人生もまた変わっていたのではないでしょうか。
仕事
すでにサポートしていただいているメーカーさんもございますが、作品を制作するのに欠かせないカメラ、レンズメーカー、AppleやAdobeなどのコンピューター・ソフトウェアメーカー、そしてカメラバックや撮影時に必要になる服や靴などのメーカー等、自分が作品を制作する上で重要なメーカーさん達と仕事ができたらお互いのためになるので、一緒に仕事ができることはいつでも嬉しいです。
そして、学生の頃から利用しているMacのデスクトップピクチャに自分の風景画像が使われたら嬉しいなと思います。さらに今後、宇宙から地球を撮影する仕事が来たらすごく嬉しいですね。レンズの選択に迷いますが……。
また自分は映画、ミュージックビデオからたくさん影響を受けているので、映像制作にも携わりたいです。やりたい仕事はあげればキリがないですね。まだまだ色々なことに挑戦したいです。
未来
コロナが収束し通常通り旅行ができるようになったらまずはアジアの国々を撮影したいです。そして、改めて自分の住んでいるドイツ、その他のヨーロッパの国々も撮影したいと思っています。旅と写真撮影はライフワークなので、引き続き世界中の国々を撮影できれば嬉しいです。
また、コロナの影響で自粛期間が設けられましたが、スタジオなど室内での撮影や、そのためのライティングのスキルも磨きたいですね。動画制作も含め、今後、今以上に自分の才能と情熱を生かし、作品を通じて人々を幸せにできる活動を続られるよう頑張ります。