1980年大阪生まれ。2010年に趣味で写真を始め、運送会社で働きながら独学で撮影技術を習得。Instagram黎明期から国内外の企業とSNS上でコラボレーションし、2015年にフリーランスのフォトグラファーとして活動を開始。2023年に写真集「PERSONAL WORK」を自社から刊行。日常の機微や日本の伝統美を、陰影を生かした現代的な視点で捉える。
7つのキーワード
被写体
自分が主に向き合っている被写体は、仕事では風景、ポートレート、建物など、さまざまです。旅も大きな要素ですね。あえて言いたいのですが、いわゆるSNS映えする、絶景的な写真が好きです。それらの写真があるからこそ対比となって、日常の写真もまた輝くと思っています。
機材
自分が主に使用している機材は、仕事も含めて「今日は本気で撮ろう」という時はメインカメラのFUJIFILM X-H1を使っています。どんな状態でも常に持ち歩いているのがコンパクトカメラのX100Fです。
理由
これは最近自宅で撮った写真です。自分でも意外だったことが、現在、外に写真が撮りに行けない状態になったにもかかわらず、自宅で毎日なんらかの写真を撮っています。むしろ制限があるからこそ写真を楽しめている。外の世界でも、すべてを写すことはできません。センサーサイズに収まるという制約の中で、世界を見ることを楽しんでいるのではないか。そんな風に感じるようになりました。だからこそ、写真を撮り続けてこられたのではないかと思います。
理想
理想の写真家になるためにおこなっていることは、あんまりないかもしれません。上記のような継続、今の連続という感覚です。あえていうなら、いろんな写真を撮って、最終的には自宅でのんびりと犬を撮影するような写真家になりたいですね。
ただお金を稼ぐこと、プロであることに関しては、社会的責任ある正しい行動をするよう心がけています。今年、3月下旬の東京に大雪が降り、折しも桜の季節で一歩外に出れば素晴らしい写真が撮れたが、社会情勢を鑑みて外に出ることはなかったですね。
発信
SNSに発信することは、根本的に今の自分が消失します。「発信があってこその写真」というのが土台なので。撮影するだけで現像しなかったヴィヴィアン・マイヤーの気持ちが全くわからないですが、ただ一方で強烈にそこに憧れるようなところもあるんですよね。
自分のように「発信あってこその写真」、という人は写真家と呼ぶに値しないかもしれないです。ヴィヴィアン・マイヤーへの憧れはそこから起因するのではないかと考えています。ただ、この先10年、20年たった時に、そういった古い価値観はゆるやかになくなっていくのではと考えています。同じように「発信あってこその写真」もまた、古い価値観になっていくだろう。それはそれで良いと思っていて、自分のスタイルと周りを重ね合わせて同時代性のようなものを感じています。いまはただ、それが心地良いと感じていますね。
仕事
今やりたい仕事はなにか、と聞かれると正直、あんまりないかもしれないです。自分が好きなように撮っているのを見て、それを必要と思ってくれる方がいれば。仕事内容というより、気持ちいい人たちと仕事がしたいと思っています。
未来
今までこの質問に、それらしいことを格好つけて答えていたじぶんを反省したいです。
今後挑戦してみたいことや抱負として、この数ヶ月あまりにも大きな価値観の変化がありました。今となっては、未来はモラトリアムだと強く感じます。そんなことではいけない。今この瞬間の日常を大事にして、それを残していきたい、継続していきたいと考えています。