objcts.io Weekend Camera Bag Review

Feb. 16. 2021

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Sep. 10. 2024

これは良い仕事だなあと感じる条件の一つに、他者への圧倒的な想像力というのがあると思っていて、久しぶりにそういうプロダクトに出会いました。

それが今回ご紹介するobjcts.ioの展開するカメラバッグ。

Weekend Camera Bagなんですが、ヒーコでも日頃からお世話になっている市川渚さん(@nagiko726)とobjcts.ioの共同開発製品だそうです。あまりにも素晴らしいカメラバッグだったので今回勢い余ってご紹介させていただきます。

objcts.io との出会い

自分がobjcts.ioを知ったのは、Twitterでデザイナーである角森氏(@tsuno_11110)をフォローしていた経緯から。おそらくそれも市川渚さん経由だと思うのですが、何かのインタビューを拝見して、日頃から革製品が好きな自分としては、同ブランドのこだわりや思いに強く共感をしたのでした。

今回は、そこからのご縁で現在品薄中の製品でもあったのですが試用させていただく機会がありまして、そのレポートとしてまとめてみます。

カメラバッグ難民

自分は普段、春夏はジャケットやシャツ。冬はロングコートと、比較的クラシックなファッションを好む傾向があるのでカメラバッグ問題には長年悩まされてきました。

カメラバッグのデザインは、基本的にアウトドアに向けたデザインから派生したものが多く、バックパックなどを中心に、メインストリームにあがってくるようなデザインは殆ど個人的な選択肢としてあがってきません。世の中に展開されているカメラバッグの9割は候補から除外されます。

一方で、クラシカルなデザインのものも展開されてはいるのですが、デジタル一眼レフ使用を前提としたものが多く、過保護な緩衝材や堅牢性に注意を払いすぎていてミラーレス全盛のこのご時世にも関わらず、少しオーバーな大きさであったりすることが多いのです。

そもそもバックパックやショルダー自体が、自分のファッションスタイルにマッチすることが稀なので、このファッションを貫きながらカメラバッグを選ぶ事が間違っていたのだと長らく考えていました。

それもあって、基本的にジャケットスタイルやロングコートにも合うようなメッセンジャーバッグやトートバッグに緩衝材に包んだカメラを入れたり、バッグなしで首からぶら下げることが大半でした。

しかしこのWeekend Camera Bagは、自分のような時代錯誤なファッションスタイルにも合う、高いデザイン性と機能性を兼ね備えた私が知る限りでは唯一無二とも言えるプロダクトになっています。

誤解していただきたくないのは、クラシカルなファッションスタイルに合わせる為のバッグというわけではなく、オールラウンドなファッションにマッチするプロダクトであるという点です。

美しく持つ

それを成し遂げているのが、美しさを究極に追い求めたのではないかのではないかとも言うべきシンプルなデザイン性です。多くのカメラバッグは、付随する小物類や複数のレンズを収納できて高機能であることを一つ目標に作られているように感じます。

バッグとしてのファッション性を追求して作られているプロダクトと異なり、機能性が先んじているわけです。

ですので、ミラーレスを前提としたシューティングスタイルで作られていたとしても、レンズは2~3本入ることが前提とされていたり、きちんとマチを確保したサブポケットによって小物類の収納を担保したりされていることが大半なプロダクトが出来上がります。

そういった機能要件のもとに作られているバッグと比較して、Weekend Camera Bagは、それらの要件を極限まで削ぎ落としながら、ファッション性としての合格点を非常に高く厳しく設定されている点が個人的にはビンゴでした。

さらに、その合格点を設定しながらも機能性にも配慮しつつ、実現している稀有なプロダクトである事は、手にとった方ならすぐにわかることでしょう。

生活に溶け込むことの重要さ

これらを実現するために、ユーザーへの深い洞察と想像力があったことは想像に難くありません。

そもそも自分が撮影する大半の写真というのは、「さあ、撮りにいくぞ」という姿勢のものではなく、日々の記録としての側面が大きいです。つまり生活が先にがあって、生活に何かを強いるようなものではないのです。

なので、基本的には首からぶら下げて外出するわけですが、これは生活を最優先した結果、ある種必然的なスタイルとも言えるものの、人類がバッグを必要とするのと同様に、カメラを収納できればと思うことは少なくありません。

このWeekend Camera Bagは、そのネーミングからもわかるように、週末カメラを持って出かける際のポイントを見事に押さえています。

それは私が考えるに以下のポイントです。

カメラバッグに求める三つのポイント

  1. お出かけを邪魔しない。
  2. カメラバッグとしての機能要件を満たしている。
  3. 写真を身近にする。

「さあ、撮りに行くぞ」と準備をして臨む場合には、おそらくこのプロダクトではない選択肢があるでしょう。私も仕事で撮影に臨む際にこのバッグを使うわけではありません。

その意味で、このバッグは生活に写真を取り入れるためのベストチョイスとしてあまりにも不動の地位を築き上げているので、正直周りがこのカメラバッグだらけになるのではないかというある種の恐怖すら感じているわけですが、それにしても素晴らしいので今回は余すところなくご紹介したいと思います。

私の撮影スタイル

仕事では案件に合わせてカメラも機材も選ぶことが多いので割愛しますが、作品撮りを含む私の最小限の撮影スタイルは、シンプルなものです。

日常

日常では、首からLeica Q。最近は、X100Vをぶら下げて外出します。

車での移動が多いので、車の際はサイドポケットに入れています。

基本的には首からぶら下げているだけなので、難点は雨の際に困るというのと、お店などに入った際にカメラを置く場所がないことです。もう言うまでもないことですが、カメラバッグがほしい。何度そう思ったことでしょうか

テストシューティング

  • Leica M10-P + Apo Summicron 50mm F2
  • Apo Summicron 75mm F2
  • 予備のバッテリー二つ、SDカード

旅行やロケでのテストシューティングでは、ZANELLATOのメッセンジャーバッグにカメラと、中望遠レンズや予備バッテリー、カードを入れています。ファッション性は保てていますが、カメラ以外に入れる持ち運ぶ必要のあるものがなければ正直バッグを持ち歩くことは少ないライフスタイルです。

Weekend Camera Bag Large

上述したように日常的な私のシューティングスタイルでは、そこまで大きな荷物を必要としないので、重要なのは生活や主目的である「お出かけ」を阻害しないということです。

上に三つ挙げたポイントそれぞれについて、Weekend Camera Bagがどのように解決してくれているのかを解説します。

お出かけを邪魔しない

重要なのはお出かけを邪魔しないということです。撮影に行くのではなく、用事があって外出している際にカメラを持っていく生活を提供してくれているという点は重要です。

このWeekend Camera Bagでは高いファッション性によってそれを実現しているわけですが、個人的に気に入ったのは革のシボと、バックルによる取り回しのしやすさ。

触ってみるとわかるのですが、革の質感が非常に心地よく、色もシンプルなブラックでファッションを邪魔しません。また、大きなバックルによって取り外しも容易。毎回肩を通して外したりする必要もなく、着脱が非常に緩やかです。また、ベルト部分には伸縮性の高い素材を使用しているので、革特有の硬さによるストレスがありません。

お店に入ってバッグを外したり、つけたりするのにストレスがありません。

  • 革のシボが美しい。
  • バックルの取り回し便利
  • 伸縮性が高い
  • ファッション性が高い。

カメラバッグとしての機能要件を満たしている

シンプルな構成でありながら、カメラバッグとしての要件も満たしています。

第一に防水である点。革でありながら防水加工が施されています。首からカメラをぶら下げていて一番恐ろしいのは急な雨だったりするわけですが、それも苦にしません。

さらにインナーのポケットを含め6つの収納スペースが用意されていて、それぞれ無駄がなくユースケースをきちんと想像された作りになっています。

予備レンズ、お財布、スマートフォン、予備のSDカード、バッテリー、フィルターなど、必要最低限のセットを入れるには充分な仕様。ベルト部分にも充分な厚みがあるので長時間の移動も苦になりません。

自分はおそらく常人の1/1000程度のフィジカルしか持ち合わせておらず、旅行中にショルダーバッグとカメラで一日中歩いていると、3年くらい寝込みそうなくらい体力を消費するのですが、このバッグなら歩いて天竺くらいなら行けちゃいそうな気にさせてくれます。

もちろん内部はクッション性に富んだ作りになっているので精密機器同士の干渉にも心配がなく、安心してあけられるのと、開口部が広いのでカメラを取り出す際にもノンストレス。

このあたりの細かい革の質感などでカメラバッグには苦手意識があるのですけど、このWeekend Camera Bagではそういう瞬間も訪れることはありませんでした。

写真を身近にする

最後に、そして最大のポイントだと個人的には考えていますが、このバッグは写真を身近にしてくれます。

カメラバッグをかついで、たくさんのレンズやカメラや可能性を共にして、写真におさめたい瞬間に出会おうとする行為を否定はしませんが、週末毎回そのような移動をしている人ってどれくらいいるでしょうか。

「さあ、撮りに行くぞ」という日々は外出するときの何パーセントだと思いますか?

自分は仕事や大きなテストシュートをのぞいて、そのような心持ちになることは殆どありません。写真はそれよりももっと身近な存在で、写真を好きになればなるほど、スマートフォン一つであっても残したい瞬間は残したいことに変わりなく、それが相棒となるカメラであればより良いです。

なので、おそらく何もドラマは起きないであろうちょっとした移動であってもカメラは持っていたいというのが自分のフォトグラファーとしての姿勢です。シャッターは一回も押さないかもしれないと思いつつも、首からカメラをぶら下げて買い物に行ったり、ドライブをしたりというのが日常で、本当はできるだけ歩きたいくらいですが、そういう日々の生活にカメラを共にしやすくしてくれるバッグの存在というのは機能では語れない重要性があると信じています。

多くの場合、我々は好きな服を着るし、好きな靴を履いて生きています。特に大きなこだわりがなくとも、あえて自分がイヤだと思うファッションで出歩く人はいないですよね。なので、ある程度身につけたくなるプロダクトを生活に取り入れて、そこにカメラがあるというのが理想なんですよね。

自分は、カメラはスタイルということをたまに言いますが、これは格好という意味ではありません。自らの型やライフスタイルとして選ぶものであるという意味で好んで言っていることなのですが、自分の型というのは上述の通り生活が先にあるという点に尽きるので、写真を身近にしてくれる存在であるというのはどんな機能性よりも遥かに豊かなことなのです。

このWeekend Camera Bagは、自分のそんなささやかな願いを形にしてくれたプロダクトで、PR案件でもないのに思わず書いてしまうほど感動したプロダクトでした。

きっちり試用後に購入したのですが、ようやくそろそろ届くようです。3ヶ月くらい待ちました。

今から購入すれば一ヶ月くらいで届くようなので、もし興味のある方は是非サイトをみてみてください。きっと、写真への姿勢すら変えてくれるバッグになると思います。

ではまた。

by Akiomi Kuroda

objcts.io Weekend Camera Bag Review

Feb 16. 2021

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