今回は、わたしが普段からよく使っていないテクニックをご紹介。何気なく撮った一枚を、少しレトロなフィルム調のようにAdobe Photoshopという人類の英知を利用して編集します。
レトロ調とは
特徴
レトロ調とは何なのか、そもそもそれが問題ですが、適切な言葉がわからずレトロ調としてみました。
セピアのような風味を残しつつ、すこし渋い雰囲気を出すために使えるかんたんなレタッチ方法です。
基本的に、「かわいい」よりも「かっこいい」が好きな人種なので、渋みが欲しい時に使ったり使わなかったりします。
特徴をあらわすのであればざっと以下のような感じでしょうか。
- セピアがかった色味。
- 中間域のコントラストを高める。
- 程よいノイズ感
巷ではフィルム調なんていうのが世界的に流行の極みにあると思いますが、それとも少し違いながら、昭和生まれの皆さまには何処か懐かしさを抱いてもらえるような雰囲気が理想ですね。
こんな風に変わります
曇天で撮影した何気ない一枚に、ほのかな雰囲気を足します。
レタッチ方法
レタッチ前
こちらがレタッチ前の一枚。悪くないとは思いますが、すこし遊びが欲しいところですね。
フェードを追加
シャドー部分を色あせた感じにするために、フェード用のレイヤーを作成します。
フェードとは、色褪せたとか、薄らいだとかいう意味があり、VSCOの設定パラーメタなんかでもありますね。
作り方は簡単で、まず新規レイヤーを50%グレーで塗りつぶします。
イメージ的には、フェードによってもっとも暗い部分(黒)がグレーに薄らいでいきます。
- Optionを押しながら新規レイヤーをクリック。
- レイヤー名を設定する。
ちなみに、紳士な大人の嗜みとして、面倒ですがレイヤー名は都度できるだけ設定したほうが良いでしょう。場合によってはトーンカーブや新規レイヤーが複数できることはざらなので、用途に合わせて名前を決めておくとわかりやすいです。ここでこう書いておきながら自分も出来ていないことが多いんですけど。
グレーで塗りつぶして調整
作成した新規レイヤーを、以下の条件で設定して50%グレーで塗りつぶされたレイヤーにします。
- 作成した新規レイヤーを選択する。
- Shift + Delete で塗りつぶしダイアログを設定。
- 内容:50%グレーを設定
- 描画モード:通常
- 不透明度:10%
不透明度を、10%に設定することによって、薄くコントラストが下がっていますね。
この不透明度は、今回10%としていますが、5% ~ 15%の間で調整しましょう。
カラーを追加する
つぎに、セピアのようなカラーを追加します。
- 新規調整レイヤーで色相・彩度を作成。
- 色彩の統一をチェック。
- 色相を25に設定(ここは好みで良いです。)
- 彩度を25に設定。
- 不透明度を調整。(10% ~ 30%)
色相によって、重ねたい色を決定します。
ここではセピア調としましたが、写真に合わせて赤寄りにしても黄色寄りにしても良いです。
ご自身の感性で柔軟に設定しましょう。
中間域のコントラストを調整する。
先ほどのフェードレイヤー追加によって、少し全体的なコントラストが下がっています。
シャドー部のコントラスト下がった点は良いのですが、人物肌部分のある中間域のコントラストまで下がっている事は本意では無いので、すこしトーンカーブで調整します。
しかしやりすぎないようにしましょう。
写真によってはやる必要はないかもしれません。ここは自分の感性に従って調整するのが理想です。
シャドーにブルーも追加する。
上記写真のトーンカーブ部分をみるとわかるように、すこしブルー(B)のシャドー部分のみアップすることでシャドー部にブルーを追加しています。
ノイズレイヤーを追加する。
さいごに、ヴィンテージらしい粒状感を出すためにノイズを追加します。
先ほどと同じ要領で新規レイヤーを追加します。
かんたんですね〜!
今回は、作成したレイヤーを、先ほどのように50%グレーで塗りつぶします。もう覚えましたね。
- Optionを押しながら新規レイヤーをクリック。
- 新規レイヤーを作成する。
- Shift + Delete で塗りつぶしダイアログを設定。
- 内容:50%グレーを設定
- 描画モード:通常
- 不透明度:100%
ノイズを加える。
50%グレーで塗りつぶされたレイヤーにノイズを追加します。
- フィルター > ノイズ > ノイズを加える
- 量:25程度
- グレースケールノイズにチェック
これで50%グレーのレイヤーがノイズレイヤーになりました。
ノイズを調整する。
ノイズ感を調整するために描画モードと不透明度変更します。
- 描画モードをソフトライトに変更。
- レイヤーの不透明度を17%に設定。
不透明度を変更しながら、写真に合う粒度に調整しましょう。
完成
以上で完成です。
まとめ
どうでしょうか
カップラーメン作るのとどっちが簡単かと考えたら、最高裁判決が必要なくらい競っていますね。
しかし実はこのテクニック、同じような描写を表現するだけならもっと簡単にLightroomやPhotoshopで再現する方法はあります。
大切なポイントは、それぞれの工程。
- フェード
- 色合い
- コントラスト調整
- ノイズ追加
全てにおいて、微調整が可能という点ですね。
写真に合わせて、これらのパラメーターを調整しながら、ご自身の感性と、撮影された写真に合わせた対応をすることが大切です。
ボタン一つでポンと良い感じになれば手軽ですが、それはやり方さえわかれば誰でも同じ雰囲気になってしまいますからね。
創作であるなら何処かはクリエイターの手が入らないといけないなと思います。
ではまた桜の咲く頃に。
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