Lightroomユーザー必見!写真をクリエイティブかつ効率的に取り扱うためのデータベース構築術

Oct. 11. 2021

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はじめに

ご無沙汰しています。死にかけの不死鳥、黒田明臣(@crypingraphy)です。

みなさんは一年間でどのくらい写真を撮りますか?数千枚?数万枚?プロアマ問わず、写真に熱中した日々を過ごし、気づいたら年間数万枚以上撮っていたなんて方もいるのではないでしょうか。

撮れば撮るほど無慈悲に溜まっていく写真データ。悲鳴をあげながら耐えるハードディスクに少しでも報いるために出来ることは、いくつかあります。

今回はAdobe Lightroom ClassicやLightroomの違いを例に、効率的に写真データを管理するための概念をお話できたらと思います。

この記事は、以前僕がAdobe Max 2019でLightroom ClassicとLightroomに関する講演を行った際の内容から「データベース構築」にフォーカスして改めてまとめたものになります。

写真データは管理が重要

効率的なデータの取り扱いを考える上では、ただ写真をレーティングして分類するといった取捨選択の工夫だけではなく、データをどのように索引可能に、且つスムーズに管理できるか、つまり過去の写真にすぐアクセス出来る事も同じくらい大切だったりするのです。

私が撮影した写真データを初めてHDDで管理しはじめてから数年経ちますが、当時狂ったように撮影しながら「これはちゃんと管理しないとヤバい」と、試行錯誤を繰り返しながら辿り着いた膨大な量の写真を効率的に扱うデータベース構築術をご紹介したいと思います。

Lightroom とLightroom Classic

写真編集ソフトとして最も名高いLightroom。実際に使用されている方も多いのではないでしょうか。現在Lightroomの名前を冠するソフトは2つあります。

Lightroom

クラウドベースでAndroidはじめiPadやiPhoneなども含むマルチプラットフォームによる写真編集が可能な写真編集アプリケーション。どこでも同じデータを管理・編集をすることが可能です。場所やデバイスの制約から解放されるので、出先でスマホやタブレットを使いパパッと編集したあとに、家でPCを使って微調整を行うなんてワークフローも可能です。

一方でクラウドの容量に制限があるため、膨大な写真を管理している人にとってはコスパがあまり良くありません。

Lightroom Classic

デスクトップに特化した写真編集や画像管理を得意とするフォトサービス。最強のデータベース管理機能「カタログ」の説明は後述しますが、それ以外にも多様なアウトプット能力が強み。複数のサイズやフォーマットに合わせたプリセットを用意して書き出しボタン一つで同時にアウトプットが可能です。

2つのソフトの強みをそれぞれ表にまとめてみました。優劣があるわけではなく、使用する方それぞれのライフスタイルに合わせてソフトをチョイス出来るのがLightroomの強さの一つだったりします。

LightroomとLightroom Classicの写真編集の能力自体は両方とも大差ありません。ただ、写真を効率的に管理するという点においてLightroom Classicは他の追随を許しません。

Lightroom Classic の唯一無二の機能

ということで、今回はLightroom Classicにフォーカスしてお話します。

Lightroom Classic 唯一無二の機能。それは「カタログ」です。 Lightroomには似たような「アルバム」という機能がありますが、「カタログ」の簡易版といった形で効率的な管理にはあまり向きません。

「カタログ」を駆使することで、過去現在問わず、目的の写真へのアクセスと管理を簡単なものにします。膨大な写真データに時間やタグ、機材情報など様々なメタ情報で索引できるように管理されており、レーティングやカラーラベル、フォルダなどで恣意的な管理を行うことも可能な仕様になっています。

Lightroomシリーズは、大きく写真編集 + 写真管理と2つの機能で成り立っており、写真編集はLightroomとLightroom Classicは同等。写真管理はLightroom Classicだけの特長です。

ここで話題となっている「カタログ」とは、写真をソフト上で管理したり編集したりするためのデータベースとしての機能のことを指します。読み込んだ画像のEXIF情報から現像記録やメタデータなどを格納しているので、後からそういったメタ情報を活用して分類を容易にしてくれているんですね。

データベース管理とはなにか?と想像した時に、WindowsでもMacでもおなじみのフォルダ管理のような構造を想像されることが多いようですが、少し違います。

写真を探す時はHDD内のフォルダで探すのではなく、カタログ内のデータベースを参照し探すことができるというのが一つ大事なポイントです。

フォルダ構造のように、トップダウンにツリー構造で分類される管理では、お目当てのファイルにたどり着くためにフォルダ構造を考えたりしなければなりませんが、なんとなくつけたフォルダを何故こんな名前にしてしまったのか覚えておらず、肝心のファイルにたどり着けないなんてことがありませんか?

データベース構造は、様々なメタ情報をもとに色々な検索の仕方が出来るので、フォルダのように場所を覚えていなくても「去年の夏頃にNikonのカメラで撮った写真…」とか「Canonのあのレンズで撮った写真…」といった断片的な情報からでも調べることができるのが大きなポイントです。

それでは、「カタログ」の優秀な機能についてご紹介します。

強力なカタログ管理機能

管理ファイルとデータファイルを分離して考えることが出来ます。少しイメージしづらいかもしれませんが、容量の重い写真データ自体は一つだけども、複数のカタログで横断的に活用したり、一つのカタログの中でも写真データをコピーせずに編集データだけ複数用意したりといったデータ的にエコな運用が実現できるんですね。

例えば1つの写真を案件ごとに違う編集で残しておくのも簡単。写真データの分散も集合も思いのまま。

また、リスク管理としてカタログを分散しておけば万が一カタログデータが破損してしまっても大惨事は防げます。

ワンソースマルチカタログ

データ量を逼迫せずに、見たい情報を見たいように管理出来ます。編集するためでなく、膨大な量の写真を整理するための高機能なフォルダのようなものです。

写真の元データ(RAWやJPEG)自体をカタログにしまいこむわけではないので、いくら写真をカタログに読み込ませてもカタログ自体の容量はそこまで重くならず取り回しがしやすいです。(もちろん限界はあります。)多数のファイルを読み込ませてカタログが重くなった場合は「カタログの最適化」をソフト上で行うとパフォーマンスが向上します。

ただ、写真とカタログがデータとして紐づいているため、写真だけを移動した結果カタログ内で写真を確認出来なくなるなんて事が起こるので、取扱にはお気をつけください。

上記以外にも数々の強みがあります。

  • 任意のデータを保管できる
  • 自由にフィルタリングできる
  • 高い検索性がある
  • 分割・結合の自由度が高い

これらの事から、写真を管理するソフトとして最強なのはLightroom Classicだと感じています。

「カタログ」と「コレクション」を活用したコンテンツ管理方法

カタログ内の写真を更に細分化出来るコレクション機能もコンテンツを管理していくうえで強力な機能なのでご紹介。

まずコレクションの分類方法は自由に決められるうえ、フォルダのように入れ子構造にする事が出来ます。

また、コレクションに格納する写真はスマートコレクションによる属性によって自動フィルタリングする方法と、手動でコレクションする方法の2種類があるので、用途によって使い分けが可能です。

カタログとコレクションを併用する際に自分が意識しているポイントが3つあります。

  • 時系列別のカタログ内でコレクションを活用、レーティング等で写真に重み付けを行う。
  • プロジェクト別のカタログ内で、コレクションを恣意的に活用。
  • プロジェクトに応じた分類で累計を作成する。

上記の事を意識しながら行った、SNSコンテンツ作成プロジェクトにおけるコレクション・レート管理例がこちら

ワークフロー毎にコレクションを作成し、更にその下の階層に月毎のコレクションを作成しています。そうする事で、欲しい写真データへ瞬時にアクセスする事が可能です。

また、別のコレクションではレーティングによる重み付けをしているので、時系列を横断したフィルタリングも可能にしています。

カタログとコレクションが最大の武器

紹介した「カタログ」と「コレクション」機能を組み合わせれば効率的かつクリエイティブに膨大な写真データを管理する事が可能です。

写真編集ソフトとしてではなく、LightroomとLightroom Classicは写真データベースとして使ってこそ、その力を十二分に発揮します。電話しかしないiPhone、冷凍食品しか温めない電子レンジ。これらは全て写真編集にしか使わないLightroom Classicのようなもの。

フォトグラファーの方だけでなく、大量の画像を管理する企業のウェブ・SNS担当者の方々にとっても最適解となりえるソフトかもしれません。

カタログとコレクションを使いこなして快適な写真ライフを送りましょう。

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