ワクチンの副反応から蘇りました。フォトグラファーのユウスケ(@syrup93g)です。突然ですが、最近の私の悩みを聞いてもらっても良いですか。ありがとうございます。
スマホで綺麗にポートレート写真が撮れません。
普段使っているカメラなら良い感じに撮れるのに、スマホだと全然上手く撮れない。
友人と遊んでる時に突然、「ユウスケ君、カメラやってるからスマホでも綺麗に撮れるんでしょ?」と言われてスマホで撮るも無言で落胆される日々。こいつマジかよという視線。涙で腫れた目が僕の視界を遮っていた時に、ふと青い稲妻が僕を責めました。
スマホで上手に撮る人の撮影に密着して、撮影テクを学んじゃえば良いのだと。
先日ヒーコ編集部でチャレンジした自然光ブツ撮りライティングでも、一同驚愕のスマホ写真を撮影したジョニーさん。彼ならポートレート撮影もきっと素敵だと思ったので半ば強引に撮影をセッティングしてみました。
撮影連れてってください!と言った時、ジョニーさんが嫌そうな顔をしていた気がしますが見てみぬふりをします。
スマホカメラの特性
まずは僕の憎き敵、もといスマホカメラの特性について簡単にみていきましょう。大体のスマホに当てはまる特徴は大体こんな感じ
- 広角ぎみのレンズを標準搭載(例えばiPhoneだとフルサイズ換算28mmくらい)
- ボケない
- ズームすると画質が著しく劣化する
最近はポートレートモードでボケるようになったり望遠側のレンズを搭載していたりと高機能化が進んでいますが、まだ一眼レフやミラーレスの性能には及ばない印象ですね。
どうやらこの辺りを理解して戦いに挑む事が今回の鍵となりそうな予感がします。
スマホでクリアに撮るコツ
まずはじめに、ジョニーさんが立ち止まった場所がこちら。
良い光の入り具合。ここでの撮影にチャレンジ。まずは僕が意気揚々と撮影してみました。
なんかモヤかかってる…。コントラストが浅く、お世辞にも良い写真とは言えません。
一方、ジョニーさんが撮った写真はこちら。
綺麗…。クリアでコントラストもしっかり出てますね。頭を抱える僕にジョニーさんがそっと一言。
「レンズを拭いてみなさい。」
半信半疑ながらもレンズを拭いた後に撮った写真がこちら。
もやがはれてクリアに写すことが出来ました。効果は一目瞭然ですね。初歩的過ぎて完全に盲点でした。
ミラーレスや一眼のレンズだとそもそもレンズの口径が大きいので、少し手で触ったくらいでは写りに影響はありませんがスマホとなると話は別。ほんの少しの汚れでも写りに大きな影響を及ぼすので、スマホで写真を撮る時はまずレンズを拭いてみる事から始めましょう!
どの角度から撮るのが正しいのか意識する
今度はおもむろに膝を使い始めたジョニーさん。
「平行垂直を意識して撮る事が大事。」
そう一言放ったジョニーさんが撮った写真はこちら。
歪みもなく綺麗な写真!
スマホレンズの多くは広角レンズを標準搭載しているので、被写体の上や下から撮ってしまうと歪みが出てしまい、いまいちな写真になりがちとの事。
特に小柄なモデルさんを撮る場合は、身長差により無意識に上から撮ってしまいがちなのでジョニーさんのように少し屈んで正対して撮る事を心がける事が綺麗に撮るポイントなのですね。
背景を生かしてダイナミックな構図で撮ろう
スマホのカメラってボケません。画角に入るもの全てがしっかり写ってしまうので、何も意識しないで撮るとごちゃごちゃした写真でパッとしない印象に。そっと消去した事数知れず。
しかしそこはジョニーさん。こちらの写真をご覧ください。
赤い壁と緑のコーンの色の対比が何ともフォトジェニック。ボケないという事を完全に逆手にとって背景を活かし切っている1枚ですね。
- 目立つ色の壁
- 配管や看板、グラフティなど都市やその街の雰囲気を感じるもの
街で撮る時は上記2点を意識して探してみると面白い背景を見つけられるとジョニーさんがこっそり教えてくれました。今度街に出る時はその点を意識しながら歩いてみようと思います。
ちなみに、大きな壁や無地の前で撮れば、被写体+壁のシンプルな構図になり、被写体を際立たせることが出来ますのでこちらも試してみてください。
〈応用編〉
モデルさんに土下座…?
良かった、カメラ構えてた。見てはいけないもの見てると思っちゃった。
振り返ったら、超低空姿勢で撮っていたジョニーさん。戸惑いを隠せませんでしたが、撮っていた写真は相変わらず素敵でした。それがこちら。
ミラーレスなどと比べてレンズも本体も小さい特徴を生かして、ギリギリまで地面に近づいて撮影しています。この結果、背景を活かししつつより迫力のあるダイナミックな構図での1枚になっています。一眼レフやミラーレスのような写真、というよりむしろ小型かつ広角のスマホを標準装備しているスマホでしか撮れない写真なのでは…!
どんな写真を撮りたいのか考えてから、時には撮る角度を大胆に決める事がかなり大事ですねこれ…。
超広角で撮る時はパースを効かせる
広角の撮り方については、なんとなく分かってきました。しかしここである疑問が。
「超広角のレンズって使う場面なくない?」
広角の更に上をいく超広角。まず超広角を使おうと思った事すら僕はありません。そんな私を尻目にジョニーさんが超広角でのポートレート撮影を開始。写真がこちら。
すごく迫力のある1枚です!普通の広角写真と見比べてみましょう。
その差は歴然です。このように超広角を活かすためには
「パースを効かせる事を意識する。」
そう告げたジョニーさん。遠近法を効かせるために意識する点もばっちり聞いてきました。
「消失点(奥行きを表す線の交わる部分)を構図に取り込む。」
これだけ意識すればバッチリだとの事。例えばさっきの写真だと、
青い点が消失点です。このように消失点があることによって遠近法を出せるので、構図により迫力を出す事が出来ます。
他の例はこちら。
紹介したコツの中だと少し難しい内容かもしれませんが、使いこなせるようになればスマホだけじゃなく一眼やミラーレスカメラで撮影する時にも活きてくる知識なのでぜひちゃんレンジしてみてください!
アタッチメントレンズを使ってみる
ここまでで既に色々な方法をジョニーさんから教わってきました。しかしながら、遠慮を知らない一人っ子として育てられた僕はここで「広角以外の写真撮りたいなあ」とジョニーさんにリクエスト。
すごいやつ出てきた。
こちらはレンズに装着すると50mm相当にする特別なアタッチメントレンズ(写真のものはiPhone用です。)で、さらに重ねてつけると100mm相当の望遠レンズになるというtokyo grapherの優れもの。
アタッチメントレンズを使用してジョニーさんが実際に撮った写真がこちら。
スマホと言えど、しっかりと望遠らしい写真が撮れていますね。アタッチメントの装着も手軽なのでカバンに1セット忍ばせておけばスマホで撮れる写真の幅を広げられる事間違いなし。
スマホはズームすると画質がかなり劣化してしまうので、望遠側のレンズがないタイプのスマホユーザーにとっては救いの一手になりそうです。
まとめ
今回はジョニーさんの撮影に同行させてもらい、スマホでポートレートを撮るコツを学んでいきました。苦手意識があったものの、今回学んだコツを取り入れればスマホ写真の可能性を引き出せそうな予感。
スマホでは綺麗なポートレートが撮れない!と考えるのではなく、スマホの特徴を活かしてどんな写真を撮ろうかなという前向きな姿勢が一眼レフなどに負けない素敵な写真を撮るために何より大切なのかもしれませんね。
この記事を読んで、「やってみたい!」「こんな方法もあるよ!」という方はぜひハッシュタグ #ヒーコチャレンジ で感想や、自分がおこなっている身近なライティング方法などをTwitterで投稿してみてください!
もしかしたら、今回のチャレンジフォトグラファーやヒーコ公式アカウントから反応がくるかも!ヒーコ公式アカウント @wearexico のタグ付けをしていただくと、よりヒーコ公式アカウントより見つけられやすくなります。たくさんのご投稿をいただいた際はヒーコが運営するnoteアカウント「ヒコノート」などで一部ご紹介させていただくかもしれません。
スマホでもハイクオリティな色味を引き出したい!
今回の記事で使用した写真は僕が撮影した写真も含めて全てジョニーさんのプリセットを使い編集しています。ぜひこのプリセットを使って、スマホ写真の可能性を引き出してみてください!
Lightroom XY Presets by Ryoji Iwata
フォトグラファーの岩田量自氏が、iPhoneから始まったこれまでの写真活動から膨大な数の写真をとおして、検証に検証を重ねて作り出した、こだわりのプリセット群。10年間、場所や天気を問わず、また昼夜も問わずありとあらゆる写真を撮り続けてきた結晶は、アレンジの幅も広く、高い汎用性をもっています。仕事でもプライベートでも恐れず使える、そんな高い汎用性、アレンジの可能性を持つ自信作のプリセットになります。