夜は寝るためにある、どうも成長期がとっくに終わったのに体は大きくなって行く事に疑問しか感じないすーちゃん(@iamnilcotcom)です。突然ですが!私には苦手なものが沢山あります。その中の1つが「夜に外で行うお散歩ポートレート撮影」です。
室内なら夜でもライティングをして撮影すればいいと思うのですが(むしろ自然光が入らなくて撮りやすい)、「外」で撮影するとあらば話は別です。大掛かりな撮影でアシスタントもいて、って撮影ならまだしも、モデルと一対一でふらっと歩いてパシャっと撮るようなお散歩ポートレートを夜に行うなんて、正直怖くてできない…そう、思っていました。
そう、co1(@co1)氏と富久浩二(@tomhati)氏に夜に撮影するポートレート&スナップの撮り方を教えてもらうまでは…!!!今回は、そのお二人の夜撮影に密着した私が学んだテクニックを、存分に応用し実際に撮影した写真と共にご紹介します!
(お二人の記事は、この記事の下部に画像リンクを貼ってるので気になる!むしろそっちの方が見たい!という方はチェケラしてください)
はじめに
夜撮影が苦手な理由
テクニックを書いて行く前に、どうして夜撮影が苦手だったのかをまず挙げていきたいと思います。
- 暗い、場所によって真っ黒になったりする
- 重いし移動が大変だから大掛かりなライティング機材は持っていきたくない
- 手軽なクリップオンストロボも、街中で光らせて目立ちたくないから持っていきたくない
- 暗いからってISOを上げすぎると画像のノイズがどエライ事に
- とにかくどう撮っていいかわからない
- 冬は寒い
こんな感じで、わがままな苦手意識と、「ライトを使わないといけない」というような強迫観念に近い思い込みがありました。ですが、co1氏と富久浩二氏から教わった撮影方法から、改善方法を見出せました。
改善方法
私なりに見出せた改善方法がこちら!
- 建物の明かりや、街灯がある場所を探す。ビル群や街灯の多い街がおすすめ。
- ライトがなくても光を探して、ちゃんと光がどこから来ているのか理解して撮ればイケる
- ストロボの強い閃光が嫌なら、定常光でかつ小さいLEDライトを使用すれば良い
- F値が明るい単焦点レンズ等を使用する・街灯のある明るい場所を探す等、ISOを上げる前に出来る事を徹底する
- 構図を欲張らずに、優先を決めてそちらを生かし写真にまとまりを出す
- 寒い場合、撮影時間を短く、すぐ室内に入って休む
つまり、ライト無しでハイクオリティな写真を撮っている二人の背中を見て、「ライトが無くてもイケるんだ…!」と謎の強迫観念の呪いから解けたというわけです。でも実際には頭で分かっても撮れなかったりもするものです。という事で、実際に撮っていきまSYOOOOOOOOOOO!
夜のポートレート撮影が苦手だったカメラ女子が、ストロボ無しで克服できた6つのテクニック
顔に街灯の光を当てよう
スキップしながら夜の街にやって来て、ライトも持たずにパシャリと撮った1枚。これ、真夜中に撮ったにも関わらず顔も暗くならず、背景もちゃんと見えていますよね。一見なんて事のない絵に見えるかもしれませんが、顔の角度を変えてもらったり、立ち位置を微調整しながらここに落ち着いています。なぜそこまで調整が必要だったのかというと、光がかなり局所的に当たっていたからです。
Before / After
光が局所的に当たっている事は、この顔の向きを変えた2枚の写真を比較すると分かりやすいと思います。
右を向いている時の顔は明るく、左を向いている時の顔は暗いですね。また、左を向いている時は、影が目にかかっているのが分かります。という事は、光は上から来ているという事になります。
要するに、右上から局所的に強い光がきているので、右上を向いているモデルの顔は明るいという事です!
状況写真
撮影した時の周りの状況がこちら!
いくつもの光源がありますが、最もモデルに対して強く当たっているのは頭上から降り注ぐ街灯です。これが先ほどの右上からきていた光の正体になります。※実際は電光掲示板よりもっと離れて撮影しているという事もあり、電光掲示板の光はさほど影響していません。
なので、その街灯の光がうまいことモデルの顔に当たるように位置を調整していました。かつ、地面のコンクリートや葉などは絵的に邪魔だなと感じたので、下から煽って撮影しています。これはco1氏直伝の「構図を欲張らずに、優先を決めてそちらを生かし写真にまとまりを出す」というポイントを応用しています!あれもこれも入れるのではなく、メインを絞った結果、まとまりある絵作りができました。
人物のシルエットを際立たせる
続いて、光を背景にして撮ってみた結果、人物のシルエットがいい感じに浮かびあがり、そんなにモデルが明るかったりしなくても気にならない、雰囲気の良いカットになりました。これは、光以外のものが暗く目立つものも無いシンプルな構図だからこそ成り立っているんだと思います。ちなみに、モデルの顔が少し明るいですが、これは前方にあった強い光の電光掲示板が影響しています。
状況写真
実際の撮影していた状況がこちら。
LEDの電光掲示板の光と、白熱灯のイルミネーションの色の差が、またいい感じに味を出してくれているのかもしれません(モデルの顔は青っぽいハイライトが入ってるけど、背景はオレンジ、みたいな)。
LEDライト使用の比較
HVL-LEIR1の公式サイトはこちら。
私がスナップ撮影時に愛用しているバッテリービデオIRライト HVL-LEIR1という小型のLEDライトを使用してみました。分かりやすいように、使用していない例と並べます。
いかがでしょうか?LEDライトを使用したほうが、人物の顔ははっきりしますね!でも、ライトを使用しなくても雰囲気があるので、これはもう好みの問題かな〜という感じです。使用していない方が自然な気はしますね。でもどっちも好きです。
ガラスに映る光の反射を利用
続いて、今度はガラス越しに撮影してみました!これは、富久氏がガラスに反射した背後のイルミネーションと前方にある情景を切り取ったテクニックを応用しています。前後にある光を取り入れて、F値を開放にし最大限ボカす事で、非現実的な雰囲気を演出できました。
窓の外にある街灯をボケに利用
今度は、室内の窓ガラス越しに見えるイルミネーションを背景に思いっきりボカして撮影。もうボケすぎててイルミネーションかどうかも定かでない感じが「ザ・イルミネーション」撮ってる感じもなくて自分的に好きです。
これは、先ほどの背景を明るくし人物のシルエットを際立たせた方法と同じで、手前が暗くかつ色味も黒で統一されているため、背景と良いコントラストになっているのかなと思います。何に対しても言えることかもしれませんが、余計なものを入れて雰囲気を崩さないよう、地面や絵的にノイズになりそうなものは極力省いています。
電光掲示板の光が使える
良い光が顔に入りました!この記事を読み進めてきた方なら最早勘付かれているのでは?と思いますが、これは右からきている光がモデルの顔を照らしていますね!
状況写真
この撮影時の状況写真がこちら。
右から来ている光の正体は、大きな電光掲示板でした!めちゃめちゃ明るいし本当にありがとう電光掲示板…。重宝しすぎる…。広告看板としての本来の役目を無視してすみません…。
という感じで、切り取り方を工夫するだけで、なんでも無い場所でも割と絵になる事がわかりますね!
顔の向きが重要!
ちなみに光の方向を向いていない時の写真がこちら。
こんなに暗いんです…顔の向きが光に向いているかどうかの重要性がずっしりと伝わります。逆にそれが狙った絵なら無問題ですが!
違う角度から撮影した写真
先ほどは壁を背に、右方向にある電光掲示板の光を利用してモデルの顔を明るくしていました。今度はカメラ前方の正面に向かって光が当たるような位置に動きました。モデルに正面から光が当たる感じです(ただモデルが後ろ向きなので話がややこしくなりますが笑)モデルに振り向いてもらった時に、顔に光が正面からくるので、全体的に顔が明るくなりました。
あとはレタッチで少し下の階段部分が明るかったので暗く落としてモデルに視線がいくように調整しました。1つの光源も、切り取る位置で全く違う光になって面白いですね!
モデル名:アオイミヅキ
まとめ
- モデルの顔が明るくなる場所をとにかく探す
- 「構図を欲張らずに、優先を決めてそちらを生かし写真にまとまりを出す」これが超大事すぎる
- 夜撮影は光源が少ない分まとまりが出しやすいかもしれない(欲張らなければ)
- バッテリービデオIRライト HVL-LEIR1は軽くて小さくて優秀
- 日中と違って光がわかりやすいため、光を見つける事は簡単
- 慣れてくると撮らなくてもここ使えそうという感覚が身についてくる
- モデルの顔だけでなく、背景までちゃんと気を配ることが重要!
撮ってみて分かった夜撮影の面白さ
co1氏と富久浩二氏の撮影を見て勢いづいた私が応用してみた結果、いかがだったでしょうか。自分的には初めて、ちゃんと夜のお散歩ポートレートが撮れたかなと思っています!
自分の感覚から言うと、日中の撮影って極論「シャッターを押せば写る」って感じがあると思っていて。どういう事かというと、太陽があるので明るさはとりあえずカメラに写るくらい確保できているという。なのでそもそもの前提が太陽の恩恵があるわけです。
でも、夜撮影だとシャッターを切る前から「暗すぎてここで押しても何にも写らないわ」という場所が多く…(笑) となると「撮れる場所を探す」という行動を余儀無くされるわけです。もちろん日中の撮影でも絵になりそうな場所はめちゃくちゃ探しますが、絵になるならない関係なく、夜だと真っ暗な場所でライトも無しだと撮れないわけですよね。もうなす術ない状況。日中の外でそんな条件の時ってあんまりないと思うんですよね。技術とかじゃなくて不可抗力の次元なので…。
夜撮影は難易度が高い?低い?
それってじゃあ夜撮影が難易度高いって事?というとまた別のお話で。まあ難易度はぶっちゃけ高いとは思いますけど!でも、良い光(といっても環境光なのであんまり光の質はよくないけど)を探すのは日中よりめちゃくちゃ楽です。夜な分、光源がとてもわかりやすい。反射光とかも、日中だと反射しすぎててどこからこの光が来てるか分からない…とかあるんですけど、夜だとめちゃくちゃ、分かりやすい!!!!!
なので、夜撮影は日中ではなんとなくしか意識してなかった「光」を明確に意識し、光や方向や反射といったものへの理解を深める良い機会になるな!!と勉強になりました。サバイバル力も上がるし、宝探しみたいで楽しいです(笑)
そんな楽しさを見つけられたので、本当の本当〜〜〜〜〜〜に夜撮影が苦手だったのですが、これを機にどんどん撮っていけそうです。
この記事を読んで、私と同様にもし「苦手だな〜」「ライト持ってないから無理〜」という方が「いっちょやってみっか」と言う一歩にでもなれば幸いです!それではまた!腹の虫が鳴く頃に。