モノクロスナップのすすめ。白黒の世界を切り取るための5つのポイント

Jul. 13. 2020

SHARE

  • xでシェア
  • lineでシェア

Sep. 10. 2024

こんにちは。東京を中心にモノクロストリートスナップを撮っているKen Tanahashi(@kentanahashi)と申します。

これまで多くの写真を撮ってきた中で、モノクロとカラーにおいて撮影を行う際に着目するポイントの違いを見つけてきました。今回はその違いについて具体的に、5つのポイントに分けてご紹介します。

モノクロスナップに惹かれるようになった理由

私がモノクロスナップを撮るようになったきっかけは、写真活動を本格的に始めてから数ヶ月後のことです。たまたまネット上で見かけた1枚のモノクロ写真に心が奪われたのが始まりでした。

その写真は冬に撮影された東京の街の写真で、東京では滅多に見られない雪が降っている様子を写したものでした。モノクロにすることで街の輪郭が強く浮かび上がり、白から黒の間のトーンがとても美しく、私はあっという間にモノクロの世界に引き込まれました。

それからモノクロスナップをずっと撮り続けています。その中でモノクロスナップを撮るにあたり気をつけるポイントが見えてきました。下記の5つです。

  • 形に注目する
  • 質感を協調する
  • 主題を引き立たせる
  • 光と影
  • 引き算

ここからは各ポイントについて、具体的に説明していきます。

モノクロスナップを撮る5つのポイント

その① 形に注目する

モノクロでフレームが強調される

モノクロ写真で最も注目すべき特徴は「色を無くすことによって被写体の形に集中できる」ことです。

カラー写真の場合は主題や構図よりも「色」に目がいってしまいがちです。しかしモノクロ写真の場合、特に白黒写真なら白と黒とグレーの濃淡だけで構成されているので、色よりも形そのものに注目することができます。

また、鑑賞者にとって色情報がない分モノクロ写真は想像力をかきたてられます。まずは色以外の部分、形に注目してみましょう。普段自分が見ていた世界とは見え方が変わってくると思います。

国際フォーラムを地下から見上げた写真です。鉄骨のフレームが強調されて迫力がでています。


車の一部を撮影した写真ですが、形に注目することで普段とは違った視点で切り取ることができます。


鳥の群れが空を飛んでいる様子を望遠レンズで撮影しました。このように白と黒だけで表現することでより形が強調されて面白い写真を撮ることができます。

その② 質感を協調する

無機質な人工物はモノクロ向き

ポイントの2つ目は「質感を強調する」ことです。金属、コンクリート、アスファルトなどモノの質感に注目して撮影してみましょう。特に無機質なものほどモノクロ向きです。


この写真はショッピングセンターの非常階段が連続している場所で撮影した写真です。真っ先に視線がいくのが奥にいる傘をさしている人なのですが、非常階段の金属の質感を活かすことでインパクトを出しています。


銀座にあるエルメスの建物です。女性が商品のディスプレイを覗き込む様子を撮影した写真です。ガラスブロックの質感を強調することで印象的なイメージに仕上がっていると思います。

その③ 主題を引き立たせる

印象的な1枚に

①でモノクロ写真は「色をなくすことで形に注目させることができる」という説明をしました。つまりモノクロ写真は色以外の部分に集中することができるため、主題となるものを引き立たせる役割があります。


この写真の主題はタクシーです。カラー写真だとなんでもない写真になってしまいますが、モノクロで撮影することによってタクシーのシルエットが際立ち、印象的な1枚に変わります。


切断された木を下から煽って撮っただけの写真ですが、主題となる木が強調されてとても力強いイメージになります。


東京で撮影したショーウィンドウです。元はカラフルでごちゃごちゃしてしまっているのですが、モノクロで写すことで三体のマネキンがとても印象深い様子に変化します。

その④ 光と影

モノクロ写真を撮影するうえで「光と影」を意識することはとても重要なことです。ここでは光と影に関するいくつかのテクニックをご紹介します。

逆光で印象的なシーンをつくりだす

カラー写真で撮る場合は、色鮮やかに映る順光で撮ることが多いと思います。ただし順光では光が平坦になりやすいため、モノクロで撮影した時にはメリハリがでません。そこで、モノクロで撮影をする時には逆光を狙います。


逆光で撮影した写真をハイコントラストで仕上げることによって自転車の長くのびる影を強調しています。この写真のように逆光時は被写体の輪郭が強調されるためよりダイナミックなイメージを作ることができます。


こちらも逆光で撮影した写真です。これが順光の場合ここまで印象深いシーンにはなりません。

部分的に光が当たる場所を見つける


コスプレイベントに遭遇したときに撮った写真です。トランプに木漏れ日が当たり浮かび上がっています。


建物に斜めに差し込む光を見つけて、そこにちょうど人が歩いてくるタイミングで撮影しています。このように一部だけ光が当たる場所を見つけると面白い写真が撮れます。

シルエットを探す

モノクロ写真はシルエットを探すのも楽しみの1つです。光の方向と照らされる面、シルエットとなる被写体に注目してシャッターを切ります。


光で照らされたタイルを歩く人を撮影した1枚です。このように主題となるシルエットがぽつんと浮かび上がります。


ガラスファサードを通った光が壁に当たることで面白い影を作っている場所です。このようなシルエット写真を撮るときのコツはまずは光が当たる場所を見つけ、シルエットとなる被写体が現れるまでひたすら待ちます。

その⑤ 引き算

要素をできるだけ削ってシンプルな構成にすることによってモノクロ写真特有の形や質感の面白さを際立たせることができます。そのためには引き算の考え方が大事です。できるだけ画面内から不必要なものは排除していきます。


空に向かって生える一輪の花。あえてモノクロで撮影することによって非常にシンプルな構成になっています。花びらのラインが際立って質感が強調されています。


街灯にとまっていたカラスが飛び立つ瞬間を望遠レンズで撮影しました。要素を2つに絞ることによってストーリー性がダイレクトに伝わってきます。


光が人だけに当たっている瞬間を狙って撮影しました。白と黒が強調されるように現像することによって、極限まで人と白線を際立たせることができます。

まとめ

今回は5つのポイントによってモノクロスナップの楽しみ方をご紹介させて頂きました。

  • 形に注目する
  • 質感を協調する
  • 主題を引き立たせる
  • 光と影
  • 引き算

これらのポイントを意識しながら撮影に挑めば、今まで見えてこなかった感覚や視点で写真を楽しむことができます。是非チャレンジしてみましょう。

by Ken Tanahashi

モノクロスナップのすすめ。白黒の世界を切り取るための5つのポイント

Jul 13. 2020

Sep. 10. 2024

このシリーズのその他の記事

  • スマホでも素敵なポートレートを撮りたい!一眼レフに負けない写真を撮るコツ
  • 「構図」で楽しむ写真の視点とアイデア
  • 今こそ買うべき!コスパ最強のオールドレンズ
  • Lightroomユーザー必見!写真をクリエイティブかつ効率的に取り扱うためのデータベース構築術

関連記事

ARTICLES

Loading...