こんにちはKenTanahashi(@kentanahashi)です。
皆さま、ミニマルフォトをご存じでしょうか?海外ではMinimalist photography(ミニマリストフォトグラフィ)として定着しているのですが、これまで日本ではあまり見かけることがないジャンルでした。もちろん日本でも昔からミニマルフォトを好んで撮っていた人はいたと思います。ですが、私たちの身近に浸透し始めたのは私の体感でいくとここ数年間のことだと思います。最近ではSNSでもミニマルフォトを投稿する人が増えてきたので一度は目にしたことがあることでしょう。
しかし耳なじみがない人にとって、「ミニマルフォトって何?」「どう撮ったらいいの?」と思っていることと思います。
今回はそんな悩みを抱える人たちのためにミニマルフォトの紹介と、私がミニマルフォトを撮影するときに意識していることを6つのテーマに分けてご紹介したいと思います。これからミニマルフォトにチャレンジしてみたい人、ミニマルフォトを知らない人も楽しんでいただけると幸いです。
ミニマルフォトとは
まずはミニマルフォトについて簡単にどんな写真であるのか特徴をご説明致します。ミニマル(minimuml)とは「必要最小限」「最も少ない」という意味を持っている言葉です。つまりミニマルフォトとは簡単に言えばできるだけ少ない要素で構成された写真のことです。
必要最小限の要素まで絞ってシンプルさをより強調します。構成要素を最小限に抑えることによって主題が明確化され、鑑賞者に見てほしいものを正確に伝えることができる特徴があります
そしてもう一つのポイントは立体的に見えるものを平面的に捉えることです。これができるようになると不思議な画が出せるようになります。
6つのテーマ
ミニマルフォトはこれからご説明する6つのテーマに沿って撮影することでより理解を深めることができます。
- 余白の活用
- スケール感
- ラインを意識する
- パターンを探す
- カラーに注目する
- 構図
余白を意識する
ミニマルフォトを撮るコツは被写体の周囲のスペースを活用すること、つまり余白を意識することから始まります。
余白を使うことはミニマルフォトの写真構成の中でも最も基本的なことであり、余白を使うことによってよりインパクトがある写真を撮ることができます。余白としてつかう背景は通常シンプルであることが望ましいです。背景がシンプルであればあるほど主題である被写体を強調し、視覚的に強い効果を作りだすことができます。
日没前に撮影した写真です。これからミニマルフォトを始める人はまずは空に目を向けましょう。街頭に止まる小鳥が主題で、画面の3/4以上を大胆に余白にしています。このように画面内に被写体をぽつんと配置することで、よりインパクトを与えています。
こちらは日中の空を撮影した写真。雲1つないシンプルな背景(空)に飛んでいる1羽の鳥を配置しています。
広い芝生の上で芝刈りをしているおじさんを画面の遠くに配置しました。このように余白の効果をうまく使うことでミニマルフォトの第一歩を踏み出すことができます。
視覚効果でスケール感を生み出す
スケール感とは大きいものと小さいものを比較することを指しています。大小の比較によって鑑賞者は被写体がどれほどのスケールであるかということに気づくことができます。この手法は建築、風景などの大きな被写体のミニマルフォトを撮るときに非常に役に立ちます。例えば大きな建物と人、巨大な入道雲と飛行機といったような比較です。小さな被写体と対になる大きなスケールのものは多くの余白を生み出すためミニマルフォトに適しています。スケール感とシンプルさを合わせることでとても強力な視覚効果を生み出します。
工事をしているビルを囲っている巨大な白い壁と、その前を歩く通行人のスケールの差を利用して撮影しました。スケールの差が広がれば広がるほどより強い印象を与えることができます。
日没後のシーンで右側に見えるマンションと左の余白に浮かぶ飛行機を対比させています。
このような一見どのくらいのスケール感なのか分からない場所に人を小さく配置することでどのくらいの大きさなのか気づくことができます。
ラインを意識する
水平、垂直、斜めの線などのラインを意識することで鑑賞者の目を引くミニマルフォトを目指します。鑑賞者の注意をラインではなく主題に向けることが理想的です。
水平ラインを利用することで穏やかな様子を表しています。
マンションの一部を切り取った写真です。水平、垂直、斜めのライン全てが含まれており、グラフィック的な仕上がりになっています。
折半の壁のラインが車のボンネットとフロントガラスに写る様子を撮って上下反転させています。垂直ラインと曲線を組み合わせることで不思議なデザイン的な写真になっています。
パターンを探す
繰り返しのパターンや印象的なパターンはミニマルフォトにとって、とても効果的に使うことができます。日常の中で面白いパターンや繰り返しがないか探してみましょう。複雑なパターンを背景として使う場合画面内がとても乱雑になり、鑑賞者が被写体から注意をそらす可能性があります。しかし、シンプルなパターンの繰り返しはミニマルフォトとして成立し主題を強調することができます。私たちの身近なところにあるものであれば窓、ドア、柱など、繰り返しの多いパターンはすべてミニマルフォトに活かすことができます。
シンプルな繰り返しの床のパターンの上に人を配置しました。このようなすっきりとしたパターンを見つけることができれば主題を邪魔しません。
畑のビニールシートの繰り返しのパターンです。手前から奥にかけてどこまでも続いていくように見えるアングルで撮影することで不思議な光景をつくりだします。
淡いピンク色のドアが連続している様子と白い壁がとても可愛らしく写っています。
色に注目する
ミニマルフォトでは色に注目してみましょう。色は視覚的に目立たせる場合に効果的なのですが、画面の中に何色も使うのはおすすめしません。主題を目立たせるためにはシンプルさが必要です。色は1色または2色にとどめることでミニマルフォトとして成立させます。なぜなら写真の中に色の要素が多すぎると単純に明るい色が1番目立つだけで、鑑賞者に主題を注目させることが難しくなってしまうからです。画面内に主題よりもよく目立つ色がある場合はそれを避けるべきです。
1色の場合
1色の場合は色のコントラストを考えます。色の明るい部分と暗い部分に差があることで同色の背景とメーターを分離させることができます。
2色の場合
2色使う場合は補色の関係を使うとよいです。この写真では青と赤という対称的な色の組み合わせによって主題となる赤い傘を際立たせています。
構図
ミニマルフォトでは構図を考えることが重要になります。特に悩むのが被写体をどの位置に配置すればいいのかだと思います。
三分割法
これからミニマルフォトを始める方に強くお勧めしたい構図は三分割法です。三分割法はとてもポピュラーな構図ではありますが、この構図を意識するだけで被写体の配置は迷わなくなります。
重ねるとこのようになります。被写体は必ずしも交点の位置に正確に配置する必要はありません。多少ズレていても問題はないです。
川の上を走るボートはちょうど三分割した右端の点の上に配置されています。このように迷ったら三分割法を思い出してください。
三分割法に慣れれば、被写体を交点の上から外しても問題ないです。自分が気持ちいいと感じるところに配置しましょう。
日の丸構図
次に紹介するのが日の丸構図です。一般的には避けられがちな日の丸構図ですがミニマルフォトでは有効的に使える場合が多々あります。
ポスティングされたチラシや新聞紙が何日も放置された様子を撮影しました。このくらいシンプルな被写体は日の丸構図で撮影しただけでも面白さが伝わってきます。
フェンスから飛び出ているコスモスの花を日の丸構図で撮影しました。背景を大きくぼかして中央の主題に目がいくようにしています。
斜線構図
3つ目は斜線構図です。ミニマルフォトと斜線構図はとても相性がいいです。
壁から覗くコスモスの花をモノクロームで撮影。あえて斜めに傾けることでデザイン的に見えます。
こちらは建物の外部階段です。水平と垂直のラインと斜めのラインを組み合わせることによってよりグラフィック的な構成にできます。
まとめ
今回は6つのテーマに沿ってミニマルフォトの楽しみ方をご紹介させて頂きました。
- 必要最小限の要素まで絞ってシンプルさをより強調する
- 立体的に見えるものを平面的に捉える
- 余白を意識して撮影する
- スケール差を出すことで印象を強くする
- ラインを意識することで鑑賞者の注意を主題に向ける
- シンプルなパターンを探す
- 色は1色または2色にとどめる
- 1色の場合は色のコントラストを意識する
- 2色使う場合は補色の関係を使う
- ミニマルフォトをこれから始める方は構図は三分割法お勧め
- 日の丸構図で視線誘導をする
- 斜線構図でグラフィック的な構成にする
これらのテクニックを組み合わせながら使いこなすことによってミニマルフォトをより楽しむことができます。みなさんもぜひチャレンジしてみてくださいね。