こんにちは。朱門(@shumonphoto)です。今回は様々な写真のレタッチに役立つテクニックのご紹介です。
はじめに
“Luminosityマスク” (以下、輝度マスク) という言葉をご存知でしょうか?最近は、LightroomやLuminarにも“輝度マスク”、“Luminosity mask” 等の名称で利用できるようになっているので、目に触れる機会は増えていると思います。
この輝度マスクですが、実は風景に限らずあらゆるジャンルの作品のレタッチにおいて、ものすごく重要なテクニックになっています。特に欧米では初心者向けカメラ雑誌に掲載されているくらい浸透しているようです。
ちなみに輝度マスクの元々のアイディアは、アンセル・アダムスが考案した有名なゾーンシステムにヒント得て発展したという話をどこかで見た気がしますが、確証はありません。(笑)
輝度マスクとは
輝度マスクはその名のとおり、画像中の輝度の違いをレイヤーマスクに利用したものです。例えば、明るい部分だけ少し彩度を抑えたいとか、シャドウ部のコントラストだけ調整したい場合などに利用することが出来ます。
輝度マスクのメリットは、輝度別にあらゆる調整が可能という点と、境界が緩やかに変化するため、ブラシや色域を使ったレイヤーマスクより更に自然にレタッチが出来る点です。また、Photoshopの他の機能を使ってマスク自体を微調整するのが簡単という特徴もあります。
輝度マスクの概念
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また、50%よりも暗い部分を“シャドウ1”、(以下同様)としています。“ハイライト1”と“シャドウ1”の間の真ん中の中間輝度の部分をミッドトーンと呼びます。
輝度マスクの作り方
Photoshopでの輝度マスクの作り方は以下のとおりです。
基本的にはRGBチャンネルを利用して順番に作っていきます。
ハイライトマスクの作り方
- RGBチャンネルを「Command (Ctrl) + クリック」
- 選択領域を新しいチャンネル“ハイライト1”として保存
- “ハイライト1”チャンネルを「Command(Ctrl) + Shift + alt + クリック」
- 選択領域を新しいチャンネル“ハイライト2”として保存
- “ハイライト2”チャンネルを「Command(Ctrl) + Shift + alt + クリック」
- 選択領域を新しいチャンネル“ハイライト3”として保存
シャドウマスクの作り方
- “ハイライト1”チャンネルを「Command (Ctrl) + クリック」
- 「Command (Ctrl) + Shift + I」で選択領域を反転
- 選択領域を新しいチャンネル“シャドウ1”として保存
- “シャドウ”チャンネルを「Command(Ctrl) + Shift + alt + クリック」
- 選択領域を新しいチャンネル“シャドウ2”として保存
- “シャドウ2”チャンネルを「Command(Ctrl) + Shift + alt + クリック」
- 選択領域を新しいチャンネル“シャドウ3”として保存
ミッドトーンマスクの作り方
- 「Command (Ctrl) + a」で全領域を選択
- “ハイライト1”チャンネルを「Command (Ctrl) + alt + クリック」
- “シャドウ1”チャンネルを「Command (Ctrl) + alt + クリック」
- 選択領域を新しいチャンネル “ミッドトーン”として保存
ここまでで、次のようなチャンネル(輝度マスク)が出来ていると思います。
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アクションを作る
輝度マスクのように、手順が複雑でステップ数が多い操作の場合、アクションを作成しておくといつでもワンクリックで輝度マスクが作成できて便利です。
アクションの作成方法は簡単で、アクションパネルで新規アクション生成を選択し、操作手順の記録を開始します。操作手順の記録中に輝度マスク作成手順を実施し、終わったら記録終了するだけです。次回からは作成したアクションを実行すると、作業中の画像に対して同じ手順が繰り返され輝度マスクが生成することができます。
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使ってみる
作成した輝度マスクの使い方は簡単です。使いたい輝度マスクをチャンネルから選び、「Command (Ctrl) + クリック」します。
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この状態で好きな調整レイヤーを選ぶと自動的に調整レイヤーに輝度マスクが適用されます。
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作例はこちら
輝度マスクを応用して仕上げた作品のbefore/afterをいくつか紹介します。(自分の作品の99%がそうですが)
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Luminosityマスクのまとめ
- 輝度別にあらゆる調整ができて便利
- ブラシや色域を使ったレイヤーマスクより更に自然にレタッチができる
- マスクの作成手順はアクションにすると便利
- Command (Ctrl) + クリックで使いたいマスクを選んで適用
輝度マスクを使いこなせると、ぐっとレタッチのレベルが上がる、覚えておいて損はないお薦めのテクニックです。ぜひ使い方を覚えてレタッチをしてみてください。
ではまた。