1974年生まれ。東京綜合写真専門学校卒。趣味ではじめたダイビングがきっかけで写真を始めたため水を使った作品が多い。広告、CDジャケット、エディトリアル撮影の他、ムービーも手掛ける。また作家として海外での数多くの受賞、国内外の展覧会開催や国際アートフェアに多数出展。
7つのキーワード
被写体
被写体はダンサーが多いです。私の撮影方法はテーマを被写体に伝えて表現してもらうスタイルで、具体的な指示はあまりしません。ダンサーの方だと自分たちでテーマにあった振り付けを考えて動いてくれるので、被写体に舞台とテーマを用意して、それを記録するような感じです。
それ以外にも「BREATH」シリーズでは、障害者の方を13人くらい撮影させていただいた事があります。このシリーズは生命力をテーマにしているので、腕や足のない方、麻痺がある方など障害があってもそれに向き合って、立ち向かっている方はぴったりだと思いました。
いろいろな団体にオファーしたうちの、ドリーマーズという団体は心良く引き受けてくださり、ほぼ全員引き受けてくれました。 その後、神奈川県民サポートセンターで展示もさせていただき、皆さんとても喜んでくださったのが嬉しかったです。
機材
私の作品は大きく印刷することが多いので解像度の高いPhase One XF IQ3 100MPで撮影しています。クライアントワークで動画や解像度のあまり要らない媒体の場合は、AF性能が良く、効率よく作業が進むSONY a7RⅲやSONY a6500を使っています。私は水中での撮影も行うので、それぞれのカメラにあった水中ハウジングを持っており、Phase One用にZillionの特注、SONY用にACQUAPAZZAを使っています。
照明機材はBroncolor Verso A4 2400wとSiros 800Lを使っています。13年くらい前に買ったものなのですが、バッテリーで使える2400wのストロボはこれしかないので重宝してます。
私の作品は黒で締めるのが基本なので、黒布を背景にも使いますし、レフにして影を出すのにも使います。ロケで太陽がきつい時には光をカットするのにも使います。
理由
写真やカメラを使ったアートって被写体に依存していて、1人では完結できないところが面白いなと。いろんな人や物を駆使して作り上げていく過程が楽しいし、作った物を展示でインスタレーションしていくのもまた楽しいんです。
カメラを使うアートは、自分の頭の中では予想できない偶然を拾う事が出来る装置だと思っています。 特に私は写真が好きというよりもビジュアルアートが好きなので、この特徴を生かした何かを作るのが楽しい。
私は自分が作りたいものを作っていて、幸運にも私の作ったものを好きな人がいてくれるので、作家を続けてこれました。
理想
一番は楽しむ事!そして、自分が納得できる仕上がりに持っていくことです。
私は自分自身が良いと思わないものを人に勧めるのは不誠実だと思っています。なのでまずは、自分自身が納得するクオリティにする事。そして、それをクライアントやモデルが気に入って、両方が噛み合った時に初めて良い仕事になると思っています。
昔はアニー・リーボヴィッツが凄いとか、ピーター・リンドバーグがかっこいいとか、ニック・ナイトはやっぱり最高!スティーヴン・クラインンはCOOLだ。とか思って憧れていたけれど、今は他人は他人だし、自分が作りたい作品を作れて、それを発表できるモチベーションをキープできれば良いかな。
発信
最近はSNSが流行っていますが、私の作風や撮影スタイルには特に関係ないです。しかし、モデルを探したり、展示の告知をするのに苦労するかもしれないですね。SNSは無料でできる広告の役割がありますし、本人にすぐコンタクトができるので便利です。
私はディスプレイの中でいい作品もあるし インスタレーションでも良い作品を作っているので、ディスプレイの世界を超えたものを作りたいです。
発信を前提としていない記録や思い出として、自分自身のものとして撮っておく撮影もあれば、発信を前提としている作品やクライアントワークの撮影もあるので、必ずしも撮影=発信ではないですね。
仕事
最近の仕事でいうと映画ポスターの制作、 声優さんとのコラボ展示、舞台のイメージ映像制作などジャンルを絞らず、いろんなことをやらせていただいていますが、自分で自分の可能性に制限をかけたくないんですよね。だから、自分の作風が生かせるなら、どんな仕事でもやります。映画とかはチャレンジしてみたいです。
未来
7月の展示で新しい作品を発表する予定なので、コロナ自粛の最中に作成しています。他には水中のMovie作品を作りたいですね。ハイスピードが撮れるカメラの値段が手ごろになってきたので、そろそろできそうな気がしています。