井上浩輝 | MY PERSPECTIVE

Jun. 25. 2020

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Hiroki Inoue

Photographer

1979年札幌市生まれ。風景写真の撮影をする中でキタキツネを中心に動物がいる美しい風景に心奪われるようになり、2016年に米誌「National Geographic」の『TRAVEL PHOTOGRAPHER OF THE YEAR 2016』のネイチャー部門において、日本人初の1位を獲得。写真は国内外の広告などでも使用されている。2019年には、代表作『Fox Chase』のプリントが英国フィリップスのオークションにおいて27,500ユーロで競落され、その写真はコンテンポラリーアートとして取引の対象にもなりはじめている。

7つのキーワード

被写体

なんといってもキタキツネが僕の被写体です。犬のように賢い一方で、犬のようにすり寄ってくることがなく、そのつかみ所のなさが「美しさ」に見えてきます。そんなキタキツネを探すのは、まるで雲を掴むようなこと。探せば探すほど戸惑いを感じるくらいです。

機材

SONY α9ii, α7R4、SEL400F28GM、SEL70200GM、SEL1635GMを主に使っています。他にも様々なレンズを持っていますが、北海道でキタキツネを撮るときには、これらの機材が一番いいです。F2.8のレンズを揃えるのは、できるだけ明るいレンズで撮影に臨みたいため。F4では厳しい場面が少なくありません。

あと欠かせない機材がもう1つ。撮影用の快適な車です。キタキツネの多くは人間が生活しているところと自然の境界、マージナルなところに生きています。そのため、人間の姿、特に足が見えていることには強い警戒をするのですが、往来する車にはあまり警戒をしません。そのため車内からの撮影や、警戒を解きながらそっと車から降りて撮影することが多くなります。長時間の張り込みや移動でも楽なシート、悪路走破性、長距離移動のための運転支援装置(自動運転)などがある車は手放せません。

理由

それはなんといってもキタキツネがいたから。彼らがいたからこそ、被写体に困ることなく毎日撮り続けることができました。そして、僕の生き方から出てくる写真を楽しみ、応援してくれる皆さん。その方たちからいただいた様々なものが「勇気」に変わり、今日までの活動の大きな支えになっていると信じています。

理想

写真家として、自由に好きな被写体を撮り続けられることが理想です。初詣のとき、七夕のとき、お盆のとき、ことあるたびに「次の一年も“写真家”として世間様に認識されていますように」とお祈りをしています。というのも、写真家という肩書きは自分で名乗るものではなく、周りから言われて初めて語るべきものだと思っているからです。僕が初めて写真家と名乗ったのも、テレビや新聞で写真家として取り上げていただいた時からでした。

そういう意味では、今はその理想の中にいることができているのではないでしょうか。これはとても幸せなことだと日々感じながら、好きなものを撮り続けています。

発信

先ほどもお話したとおり、写真家であることは自称ではなく他者からの評価あってのものですから、評価される機会となる発表や表現はとても重要になります。とすれば、撮影したものを展示・書籍・SNSなどで発表・発信し、見ていただく方々から評価をいただく、ここまでの行為はすべて一体のものだと考えています。

発信する手段としてSNSが普及してもう久しいですが、もしも昔のままSNSがない世界だったら、僕は今よりもゆっくりとしたペースで撮影しそうですね。でも、SNSの即時性とその速度感って嫌いじゃないです。時代はもっと早く動いてますから。

仕事

数年前から航空会社の広告の撮影をしているのですが、飛行機、飛ぶことや飛ばすことに対して仕事にされている方々を撮ることに、楽しみを強く感じています。高校生の頃まで空の仕事をしたかったこと、実は飛行機を撮りたくて一眼カメラを持ち始めたことも強く影響しているかもしれません。

空の仕事に就いている方々と接しながら撮影する楽しさは、キタキツネたちを撮るのとはまた違った楽しみがあります。風景や自然、動物を相手に撮影するのも、人と関わり合いながら撮影するのも、それぞれに異なる魅力があってどちらも素敵なことだと日々感じております。

未来

僕は、どんなものにも素敵な側面や瞬間があると信じています。その瞬間に立ち会うことができたなら、写真家として本望です。

これからも毎日素敵な被写体に会って素敵な日々を過ごせますように。

井上浩輝氏 作品ギャラリー

by Hiroki Inoue

井上浩輝 | MY PERSPECTIVE

Jun 25. 2020

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