Lightroom Essential Presets II

Jun. 22. 2023

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Sep. 10. 2024

ご無沙汰しております。黒田明臣(@crypingraphy)です。2023年、写真をはじめて9年目になりますが、これまでの経験と個性からあらたに導いた Lightroom プリセットを9点ご用意しました。

前回の発表は2年前。これまでのプリセットは、ベースとして出汁のようにご活用いただくことを想定して、比較的ニュートラルな世界観で使えるものを作ってきました。より商業的で、よりプロフェッショナルユースに近い部分があったと思います。おかげさまで多くの方にご活用いただいてフィードバックも日々頂戴している中で、予想以上にビギナーの方やフォトグラファー以外の方にもご利⽤いただいていることに気づきました。

今回は、出汁とはいわず最終的な味付けまでを目指した、よりわかりやすいプリセットとなっていますので、ボツにした写真や、これってうまく使えないかな?という写真にもまずはお試しいただいて、新たな可能性を切り開いていただけたらと思います。

プリセットの詳細について

本プリセットは「Chapter I」「Chapter II」「Chapter III」の3部構成となっております。それぞれどのようなイメージで制作をしたか詳細を記載させていただきますので、ぜひご一読ください。

Chapter I

Chapter Iは、クリエイティブの基礎と細部へのこだわりが際立つ3つのプリセットを揃えています。Nolanは、洗練されたブルーと均一なコントラストで自然光を美しく映し出します。Andersonは違和感のある独特なカラーグレーディングと浅めのシャドウで異なる観点を引き立てます。一方、Spielbergはやさしいコントラストと程よいフイルム調で写真に懐かしさを添えます。これらは個々の特性を生かし、自由にカスタマイズできるため幅広い表現が可能です。

ノーラン / Nolan

Nolan

洗練されたブルーが特徴のトップバッター、ノーラン。今回のプリセットの中では、その他と比較して個人的王道に近いニュートラルな一品。ブルーとシアンを香らせながらコントラストを均一化するので、自然光下の強すぎるコントラストや、室内で複雑な光の状況に対応するのにベストチョイス。

元々コントラストが少ない環境での写真は、すこし眠たくなる可能性があるので、その場合は白レベルをお好みの位置まであげると、清々しい夜明けが訪れるはずです。

元々は複雑な光を扱うためのプリセットとしてつくられましたが、いつも複雑性を見事な作品に昇華しているクリストファーノーラン監督にあやかって、ノーランに。

アンダーソン / Anderson

Anderson

違和感のある独特なカラーグレーディングが特徴。20代の頃から敬愛してやまないポールトーマスアンダーソン監督にちなんだ一品。自分としてはめずらしく、浅めのシャドウが特徴的。

ウォームカラーと浅めのシャドウで構成されるアンダーソンは、どことなく寂しさを漂わせながら日常の一コマに異なる観点を与えるべく生まれました。人物からスナップまで幅広く活用できるはずです。

ブルーアワーでは、きちんと青を主張しながらも補色となるオレンジ系のカラーを拾う設定になっているので、そのように使ってください。

スピルバーグ / Spielberg

Spielberg

素材の味を活かしながらもしっかりとした味付けに強調する。王道が王道たる所以を地でいくスピルバーグ。とある友人のリクエストを受けながらつくられた、程よいフイルム調を目指した作品。

奇を衒うことなく、やさしいコントラストと、すこしグリーンに寄せられたアンダー部分が懐かしさを呼びおこしてくれるかも?

コントラストを調整することで、塩のように濃さは自在に変更可能。大きく調整しても素材の味が崩れることはないのでカスタマイズ性に優れたベースでもあります。人物にも活用可能なので、ポートレートなどでもご活用ください。

Chapter II

Chapter IIは、特徴的な色彩表現と卓越したカラーグレーディングが魅力的な3つのプリセットを提供します。Fincherは印象的なブルーが特徴で、様々な状況下で活用できます。Refnは光の三原色を強調し、日常と狂気の狭間を描き出します。Coppolaはボタンひとつでレトロな雰囲気と深みのある思い出を表現します。これらのプリセットはユニークな視点を提供し、撮影の幅を広げることが可能です。

フィンチャー / Fincher

Fincher

無限のブルーを目指して作成されたフィンチャー。これは仕事でも頻繁に活用するカラーグレーディングで、個人的に愛してやまないマジックアワーがインスピレーションのはじまり。

曇り空でも、クローズアップでも、ピーカンでも、印象的なブルーが実現できるように、尖りつつも汎用的なバランス感覚が特徴。鑑賞中は、呼吸することすら惜しい緊迫した演出が心地よいデイビットフィンチャーの映画のように、どこか刹那的な印象も目指しました。

このブルーは、ホワイトバランスをニュートラルにした時にちょうど良い形になるようにしているので、無理に後に振る必要はありません。写真内のコントラストによっては、白レベルを調整することで、穏やかな青にすることも、時には荒れ狂う深い群青を目指すことも良いでしょう。

レフン / Refn

Refn

今回の最重要作品、偶然から生まれた狂気と静寂が同居する無情のプリセット、レフン。光の三原色を強調しつつも、人の道を外れないレベルに抑えたトーン。日常というにはあまりにもアグレッシブ、だけど許せないこともない、そんなワンシーンを演出する一品。

なにかがおかしい、でも、なにがおかしいのかはわからない、そんな瞬間にはぴったり。光の混ざった環境やマジックアワー、もちろん夜の街中であっても、過敏に、且つ繊細に光を捉えます。

粒子やコントラスト、黒レベルを調整することで、写真のコントラストに合わせた運用を行なってください。つぶれない程度の黒で、漆黒を表現するのがおすすめです。

コッポラ / Coppola

Coppola

おそらく最も汎用的、かつ野心的。ボタンひとつでそれは完成する、特徴的なグリーンと、フイルム時代やレトロな雰囲気を実現するクラシックな完成度、コッポラ。

街頭で何気なく撮られた一枚を深みのある思い出に変える、大袈裟にも思えるような配色がどこか懐かしさを運んでくる、そんなプリセットになっています。

色が大げさに感じることもあるので、そのときはコントラストや彩度を変更することをおすすめします。明るさはハイライト測光を意識して、少しアンダーに寄せることでバランスの良いコントラストに近づきます。

Chapter III

Chapter IIIは、異端かつ意欲的な3つのプリセットで構成されています。Ka Waiは特徴的な光と露出の調整で独自の世界観を表現します。Scorseseはシアンとグリーンの狭間で傑作スリラーのような雰囲気を作り出します。Chazelleは明暗と色彩のコントラストを活かし、ポップながらもノスタルジックな雰囲気を醸し出します。このセットは大胆な色彩表現と鋭い視点を持ち、撮影の可能性を無限に広げます。

カーウァイ / Ka Wai

Ka Wai

今回最大の異端児、カーウァイ。果たしてこれを実現して良かったのだろうかと、今でも少し悩まされる異形のプリセット。大人しくしていれば、大きな変化は訪れない、しかし一度特徴的な光を掴んでしまうと露出を間違えたフイルムのように暴れ狂う宇宙からの使者。

全体に琥珀調のアンバーな雰囲気を纏わせつつ、どこかノスタルジックで、幻想的なイメージが特徴です。これまで出汁だとかなんとか言っていたプリセットと異なり、ほとんど刺激物。

危険物取扱資格がなくても扱える唯一のものかもしれません。一度もともとの写真のことは忘れ、マルチバースだと思ってご活躍ください。ホワイトバランスごといじってしまうような大胆さをもって扱うことをおすすめします。

スコセッシ / Scorsese

Scorsese

傑作スリラーを実現するシアンとグリーンの狭間。使いやすさ抜群のこちらは、スコセッシ。静謐で重い印象と、昭和や80年代を思い起こさせるプリセット。

ずしんとわかりやすい変化が訪れるが、決してくどくない味付けを目指されており、使いやすさは意外と抜群。万人に愛されるシュールな明るさも持ち合わせている。

あなたの記録をシアンに染める破壊力は、100年後に発見された時、その写真は80年代と誤認させるかもしれない。ぜひグリーンやシアンの雰囲気を活かしつつ、コントラストを調整しておこのみの硬さまで茹でてください。

チャゼル / Chazelle

Chazelle

明るいものは明るく、暗いものは暗く。明るくポップに見える写真も、どこか退廃的でノスタルジックな矛盾を同居させるプリセットがこちら。

渾身の一枚も、誰に見せることもない記念の一枚も、言葉では抱えきれない表現で思わず踊りだしてしまうような感覚を共有するのがチャゼルです。様々な種類のライトから受ける影響を強調する独特の色合いは、疲れた心をいやしてくれるかもしれません。

ブラスバンドの鮮やかさ、ネオンライトの曖昧さ、それらを繋ぎ合わせるリズム感。チャゼルはそんな一瞬一瞬の光の変化を楽しむために生まれました。

彩度とコントラストを調整することで、そのシーンに合わせた感情表現が可能です。あえてホワイトバランスをクールにし、影部を強調することで、ドラマティックな空間を演出することもおすすめです。

使用上の注意点

  • 写真全体の露出が、アンダー 0.7 段〜適正の間を基準に設定されています。
  • 露出オーバー気味で撮影された場合などは、露光量のスライダーを手動で調整してください。
  • コントラストが強いと感じた場合には、「黒レベル」を調整することで特長を活かしたまま改善されます。
  • コントラストが弱いと感じた場合には、「白レベル」を調整することで特長を活かしたまま改善されます。
  • モニターの基準値は、白レベル60で、明るさ80を基準に設定されています。
  • 一部の Android スマートフォンでは、一部モニタなどでは色が明暗差が強く出てしまう可能性がありますので、上述のコントラスト調整を適時行ってください。
  • プリセットは各社カメラのRAWデータに対して適⽤してください。JPEGデータに対して適⽤すると期待されている以上の効果として想定以上のカラーやコントラストになってしまう可能性が⾼いです。

試してみて良かったら #黒田プリセット で作例や感想をご投稿ください♫

プリセットはこちらから購入できます

今回のプリセットは3つのパッケージと全てが含まれるコンプリート版で構成され、コンプリート版がもっともお買い得となっております。
是非ご購入いただき、皆様の新たな写真表現の一助となれば幸いです。

Lightroom Essential Presets II by Akiomi Kuroda

ポートレートやスナップ写真を一変させる、プリセット界の味の素。フォトグラファーの黒田明臣が普段SNSで投稿する際に活用するプリセットの中でも、変化のおおきいものが厳選して詰め込まれています。コントラストや露出を調整することで濃度を調整できる点が特徴的なプリセット群をお楽しみください。

by Akiomi Kuroda

Lightroom Essential Presets II

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