こんにちは、ポートレートなのかポートレイトなのか未だにその違いすら把握できていない、黒田明臣(@crypingraphy)です。
初心者の方に向けて
さいきん、知人の展示に顔を出したり、はじめましての方々が意外と初心者だったりするという事に気づき、そういった方向けにちょっとした、数値ではわからないコツを書いておいたほうが良いのではと。思い立ちました。ということで、気まぐれペースでそういった記事も載せていきたいと思います。
コツ
「ポートレート初心者が陥りがちな5つの失敗」
と書きましたが、言い換えればコツとも言えます。
このあたりを守っておくと良いですよーというおすすめ。
写真に答えはないと思っていますが、守破離の思想しかり、何事にも基本があり、それをしっかり身につけた上での応用がありますよね。
では早速いきましょう。
1. 瞳のピント。
いずれも撮ったまんまの状態で何もレタッチはしていません。
奥の目にピントが合っている。
例えばこの写真、何が悪いかわかりますか?
ピントが右目に合ってるんですね。
右目に合っている事が悪いのではなく、手前の目に合っていないことが違和感なんです。
手前の目にピントが合っている。
すこし写真がしまったような気がしませんか?
手前の目にピントを合わせよう。
ポートレートに於いて、被写体の「目」というのは重要な要素です。
- 写真の中の被写体を、鑑賞者は探す
- 人物の顔であれば目。
- 複数ある場合には手前のポイントに視線は集中する。
これがざっと鑑賞者からみた視線の基本なのですが、
ぱっと写真を見た時、どういうわけか人間は目を見に行くんですね。
そこで両目にピントが合っていると良いですし、片目がボケるくらい被写界深度が浅い写真であれば
手前の目にピントがしっかり合っていれば違和感がありません。
しかし、その目がボケていると、それだけで写真のしまりがない印象を与えてしまいます。
例えばこの写真設定 “85mm, f/1.4, 1/160s, iso/100” なので、大変ピントが浅いのです。
顔をレンズにたいして斜めにしていると、それだけでピントが片目にしか合わなくなるのですね。
そういったときは、手前にある目へとピントをあわせるように気をつけましょう。
そのレンズ、ピントが合っていますか?
レンズによっては、「前ピン」や「後ピン」だったりすることがあります。
カメラ内のオートフォーカスで「合致している」と表示が出ていても、実際はその前や後ろに合ってたりするのですね。
これを「前ピン」や「後ピン」といいます。
上の基本で書いたように、多少「前ピン」である分には、鑑賞者の眼は手前のポイントに集中されるので
ある程度大丈夫なのですが、「後ピン」だと、自分はしっかり手前に合わせたつもりでもカメラは後ろに合わせているので
ちょっと問題になったりします。
なので、レンズを購入した時にきちんと合っているかテストをして、駄目ならメーカーへ出してなおしてもらいましょう。
特に中望遠の明るいレンズなんかは要チェックですね。
せっかく購入した良いレンズのピントが合っていないようだと残念ですから。
自分は実際に後ピンのレンズに出会ったことが何度かあります笑
2. 首切り。
ヘッドショットのように顔にフォーカスした写真を撮る時、やりがちな過ちなのですが、
フレームを首で切ってしまうと、いわゆる首切り構図になってしまいます。
なんだか不安定な印象をうけませんか?
思い切ってオデコを切ろう
人間、首を切られたら高確率で死に至りますが、オデコであればまだ生存確率があがります。
そういったときは、思い切ってオデコごと切ってしまいましょう。
それだけで大丈夫、構図に安定感がでます。
よく寄った写真を撮る時に、被写体の「頭のてっぺんまで写っていないといけない」と思ってしまうのか
頂点まではしっかり写っているけど、肩や首が写っていないので不安定にみえる写真なんか見ることが多いですね。
あえて意図があってやっているのであればよいのですが、そういうわけでなければちょっと不安ですよね。
ちなみにこの参考写真も、本当は肩まで写っているものであればベストです笑
3. 同じ場所で撮り続ける。
ちょっとめずらしく連射をしてみました。
一枚一枚を見てもらえるとわかると思いますが、殆ど同じ写真ですね。
撮りながら「あ、これは良い感じ!」なんて思うと、無闇矢鱈にそのまま撮影しつづけちゃう
その気持ちわかります。
しかしよく考えてみると、既に撮れているなら同じような写真をとっても
きっと採用するのは一枚だったりしますよね。
そういうときこそ落ち着いて、きちんと撮れているか確認しましょう。
- 自分が求める雰囲気・表情が出ているか
- ピントは問題ないか
- 現像にむけて露出等問題ないか
など、基本的なことを確認して問題なければ次へいきましょう。
ぱっとみ良い!とおもって連射していたけど、全部ピントが外れていた。なんてなったら
帰宅後パソコン前で、あの時の気持ちを返せと自分自身を許せないフランキー症候群になること請け合いです。
4. 光を見ない。
しっくりこない写真
これで勝つる
こちらの二枚は、同じ場所に同じ時間帯で撮ったモノです。
ちょっと自分の立ち位置を変えただけなんですね。
自分はとくに、背景から写真を決めてしまうことが多いので気をつけているのですが
「光を見る」
というのは、基本中の基本です。
ちょっと自分の向きやモデルの向きを変えるだけで光が全くちがったりするので
「あれ、なにか違うな?」と思ったら、その場所で何枚も撮影して時間を浪費するより
「ここだ!」というポイントを探しましょう。
光を見るとは
しかしまあ光を見ると言っても難しいですよね。
これは写真の好みや自分のセンスにもよると思うので正解はないです。
ただ、以下のようなことを注意するようにしているのでご参考までに。
- どういう雰囲気・写真にするか考える
- モデルをしてくれている人の顔と光の相性。
- 現像で何処までイメージに近づけられるかを考慮する。
- 光の柔らかさと細かい明暗差や階調をじっくりみる。
まあ難しいですよね。
正解はないといいましたが、「自分の中での正解をもっておく」というのは大事だと思います。
「僕はこれがいいんだ!」という意志があればそこに向かっていけるので。
「撮ったらなんとなく良い感じに」というのをできるだけ具体的にしていきたいですね。
センスで自分のイメージに近づけていくことができるのは良いことですが、
そのイメージを再現可能なモノにして、しっかりと身につける為には、
自分の好みを自分なりに分析していくこともまた大事なんだと思っています。
5. 露出を常にカメラ任せにしてしまう。
これも陥りがちなミスです。
基本的にはカメラまかせでいいんですよ。しかしカメラ任せにしてはいけない場合というのもあります。
大抵のカメラには、「測光モード」という設定があり、その設定次第なところではあるのですが
その設定を一歩間違えると、大幅な露出オーバーになってしまったりします。
(今回、測光モードについては説明しません)
参考例の場合
わかりやすく白飛びしているところをピンクにオーバーレイしてみました。
例えば、上記の写真でいうと、髪の毛の暗さに引っ張られて写真全体の露出を合わせようとカメラが自動でやってくれるのですね。
大体カメラというのは、自動で「適正露出」という明るさになるよう各種モード設定に応じて
シャッタースピードや絞り、そしてISOを設定してくれるのですが、これを一歩間違えると明暗差のはげしい環境下だと、露出オーバーになってしまったりします。
誰しもそういう経験はあると思いますが、環境に合わせて対応する必要があります。
「適正露出」というのはあくまで、カメラが決めた値であって、本当の「適正露出」を決めるのは撮影者である我々です。
露出補正でマイナスにする。
ここで露出補正の出番ですね。
一番手軽な方法です。
大体、絞り優先モード(Aモード)で撮影している方が多いと思いますが
露出補正をマイナスにすることで、シャッタースピードを早くして暗めに調整してくれます。
思い切ってマニュアルモードにする。
自分なんかはこのケースが多いですね。
というより、普段からマニュアルなのであれなんですけど。
同じ構図で、光源が動いていないのであれば、程よい設定を探してその中で
露出補正など気にせず撮り続けることができます。
気をつけるポイント
- 光源が動いていなくても雲で太陽が隠れたりするとマニュアルモードは死亡
- スポット測光モードの時は、フォーカスポイントに合わせて測光するので、どこにフォーカスしているか注意
- 基本的には少しアンダー目の方が、デジタルカメラの場合現像しやすいです。
- (これはいずれ別の記事で。)
まとめ
以上!
初心者にありがちなポートレートにおける失敗を過去を思い返しながらやってみました。
思えば昔、何もわかっていない中でやらかしたことがおおかったなあと。
他にもまだあるとは思うので、思いついたら書きますね。
それでは皆さん、また桜の咲く頃に。
model / ピカチュウ
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