鬼澤礼門 | MY PERSPECTIVE

Jun. 10. 2020

SHARE

  • xでシェア
  • lineでシェア

Ramon Onizawa

Photographer

1988年サンフランシスコ生まれ。その後日本に移住。2000年よりモデルとして活動開始後、「Popeye」「Men’s NON-NO」などで活躍。自身のモデルでの現場経験を活かしたい思いで、写真活動を開始。2014年石黒淳二氏に師事、2017年に独立。現在は様々な企業案件やアーティスト写真などを撮影しつつ、FUJIFILM主催のXアカデミー講師も務めている。

7つのキーワード

被写体

仕事上の被写体は人物から物撮り、スナップなど多岐に渡りますが、パーソナルの作品撮りで被写体として選んでいるのは人物です。人物を撮る理由は、撮影時に良くも悪くも自分の意思や内面が被写体に反映されるため、たとえ同じシチュエーションとモデルで、別のフォトグラファーが撮影したとしても、決して同じ写真にはならないからです。そこに、人物を撮る面白さと、自分が撮る意味を感じています。

作品撮りなどの人物撮影で欠かせない要素としては、1に準備、2に準備です。まずは撮りたいイメージを様々なメディアを利用しリサーチします。私は写真集やピンタレスト、尊敬する写真家のHPなどからイメージを構築していき、撮りたいイメージが固まったら、インスタや、モデル事務所のHPよりモデル探しを行います。モデルは人物撮影を行う上での核になるので、妥協はできません。

もう一つ欠かせない要素として、ヘアメイクとスタイリストがとても重要になります。ヘアメイクは意図した撮影イメージに対して、モデルを魅力的に仕上げ、写真の中でモデルを活かす為には必要不可欠です。スタイリストも写真のイメージそのものや、品の良さなどを左右するとても重要な役割を担っています。撮影場所などは必ずロケハンを行うようにしており、そうすることで撮影イメージをより明瞭なものにでき、本番の撮影時もスムーズな撮影を行うことができます。私の作品撮りは多くの人の協力の上成り立っているので、ストレスなくスムーズに撮影を進行する事はとても大事な要素なんです。私が作品を撮る場合、どの要素が欠けても撮影は成り立たないのでいつもみなさんには感謝感謝です。

また最近はドキュメンタリー写真にも魅力を感じていて、何か一つに人生を捧げている人たちは、被写体としてもとても魅力的に写ります。ポートレートを作品レベルまで昇華させるためには、モデル選び、シチュエーション、ヘアメイク、スタイリングなど、様々な要素が必要不可欠ですが、職人さんやアーティストは、そのままでも十分すぎるほど魅力的に私は感じています。だから、彼らを撮影する喜び、楽しみは何物にも変えがたいものがあるなと思っています。

機材

カメラはFUJIFILM GFX50RとFUJIFILM X-pro3を使用しています。照明などは撮影案件ごとに必要機材が異なるため、都度外注でレンタルしています。仕事やポートレートなどの作品撮りの場合は、スムーズに撮影を進行する上でパソコンやiPadなどのモニターは欠かせません。

スタジオ撮影の場合はPCの「Capture One」を使用してテザー撮影をしています。理由としてはクライアントさんに迅速に確認していただく事で、イメージの相違を防ぐことができるからです。現場で写真をきちんとクライアントさんに見てもらい、確実にOKをいただく事で撮影後のいざこざを防ぐことができます。これは仕事をする上でのテクニックとしてすごく大事なことです。

ロケの場合は機動力が大切になってくるので、有線でのテザー撮影ではデメリットが生じます。なので、私の場合はカメラのスロット2にWiFi搭載のSDカードFlashairを搭載し、iPhoneおよびiPadアプリの「ShutterSnitch」を使用してシームレスに写真をiPadに表示できるようにしています。

理由

写真が好きなのは勿論ですが、フォトグラファーという職業に誇りを持っています。もし写真を撮ることをやめてしまえば、大切な家族と路上で生活することになってしまいます(笑)私は写真が生業になるまでにおおよそ10年かかりました。10年かけて写真の技術的な要素はもちろん、面白さや多様性、奥深さなどを学んできたので、今後も可能な限り自分のスタイルを探求していきたいです。

理想

私は仕事をする為に必要なスキルや感性を磨くことを今まで意識してきましたが、技術や流行の写真はいつか必ず新しい波に流される時がきます。大事なのは自分の感性を磨くことです。写真の面白さは撮影者の面白さでもあると思います。色々な経験を積み人間として豊かになる事が、生涯通して写真を撮る為に必要な事だと信じています。自分自身が写真以外の新たな挑戦を続ける事で、撮りたいものも自然に増えていくと思っています。好奇心を忘れずに、様々な変化を楽しめる写真家でありたいです。

発信

SNSをしていると知らぬ間に、流行の色味やテイストに影響を受けてしまっている自分に気づく事があります。これは自分のスタイルを探求している身としては必要のない回り道です。SNSがなければ真っ直ぐに自分の信じた道を探求できるのではと思っています。撮影した写真の発信は、正直苦手な分野ではありますが、写真は誰かに観てもらわなければ意味がないので、発信は必ず必要なことだと思います。発信方法はSNS、写真展、写真集などがありますが、それぞれの特性に合わせた発信をする事が大事だと思っています。

最近はSNSが主な作品発表の場になりました。SNSでいいねを貰うには、一枚絵のインパクトが重要になり、大味な作品が目立ってきています。SNSで簡単に作品を発表できるようになり、利便性が上がったと思いますが、写真の楽しみ方としては、逆につまらないものになっているように思います。『写真が消費されている』という表現がSNSの発展と共に出てきた事こそが、その証拠です。私としては、SNSで端的に写真を発信し続ける事により、写真展の集客や写真集の購買などに結びつける事ができるのが理想的なSNSの活用方法だと思います。

仕事

写真集を撮りたいです!またファッション系の撮影なども増やしていけたらと思います。

未来

今後は作家としての活動を充実させていき、写真展などをコンスタントにやっていきたいです。またSNSなどを有効に活用できるようになる事が近々の目標です!

鬼澤礼門氏 作品ギャラリー

by Ramon Onizawa

鬼澤礼門 | MY PERSPECTIVE

Jun 10. 2020

このシリーズのその他の記事

関連記事

ARTICLES

Loading...