ポートレート撮影に135mmレンズをすすめたくて仕方ない黒田明臣 @crypingraphyです。中望遠レンズといえば、85mmか135mmというのはよく聞く話だと思いますが、同じ中望遠でも85mmと135mmには大きな隔たりがあります。自分は両方所有していて、それぞれ使い分けています。
しかし周りの声を聞いてみると、85mmは持っているけど135mmってどうなの?という人が意外と多いので、今回は135mmについて少しご紹介します。
135mmも良いじゃない。
85mmと135mmはいずれも単焦点レンズで、F1.4 ~ F2.8くらいの明るさを確保できる事がカタログスペック上では目を引くところですが、明るさ以外にも135mmの魅力というのはたくさんあるんですよね。
ここはあえて85mmを持っている方にこそオススメしたい。
被写体に距離だけでなく心も50mmくらい更に近づいたような写真を撮りたいところ。
ポートレートに135mmを勧める3つの理由。
Carl Zeiss Apo Sonnar T* 2/135
それでは、いくつか個人的に135mmを利用する理由をお送りします。
使用しているレンズは、自分がどのカメラを使用していても必ず何故か手に入れてしまう愛用レンズメーカー
Apo Sonnar T* 2/135。カメラはNikon D810。
ボケ
まず最初に135mmレンズに魅力を感じる人たち、135mmレンズの購入を検討しているを襲うのは、圧倒的なボケへの誘惑が多いんじゃないでしょうか。
自分もそのボケ感を試してみたいというのがありました。
135mmという中望遠によるボケ効果と、開放F値 1.4 ~ 2.8といった被写界深度の薄さが背景や手前に存在する様々なモノをとろけるようにぼかしてしまう光景は唯一無二なんですよね。
前ボケでも活用
また、このように被写体の前にモノをおいた状態であっても前ボケが効果的に演出に力を貸してくれます。
例えば、自分の手や指をかざすだけでもそれだけで予期せぬおもしろい効果を出してくれたりと、広角気味のレンズでは難しい「あそび」が出来るのもおもしろいですね。
135mmだからと被写体のバストアップにこだわる必要もありません。
例えば被写体とカメラが35mm換算で10m ~ 20mといった、声も張り上げなければ届かないような距離であっても、被写体と背景の距離が充分であればボケていく感じは圧巻。
顔の歪み
人物の顔を同じサイズにして撮影するとします。
例えばバストアップにする際、35mmであれば人物とカメラの距離は非常に近いですが、135mmなどの中望遠レンズになると数メートルは離れる必要があります。
複数の単焦点レンズで同じサイズに被写体を切り取ろうとすると、このカメラと被写体の距離が変化するわけですが、焦点距離が短いレンズであるほど奥行きが構図の中に含まれ被写体の顔が収縮されたような絵になります。
逆に中望遠になると、より平面的になり実際の人物と近いシルエットに近づきます。
そういった効果もあり、85mmや135mmがポートレートレンズとして最適と言われたりもするようですが、
中には135mmがもっとも人物の顔をバストアップで撮影した際に美しいラインになるという話もあります。
そして私もその例にもれず、135mmによる輪郭が一番イメージに合うと思っています。
135mm
このようなビューティーっぽい撮影など、スタジオワークでも多用しています。
このくらいの画角から更に寄って収めたりもしたい場合なんかは特に、個人的に一番しっくりくるのが135mmなんですね。
135mmのF2というと、上述したボケのように開放で背景をぼかした撮影に惹かれがちですが、F8~11といった絞った状態であっても、135mmの利点というのはあるのです。
圧縮効果も同じ。
F/4, 1/160s, ISO/64, WB/5500
そして実はこれらは、圧縮効果と同じ原理によるものです。
つまり中望遠レンズによる圧縮効果が少しマクロなレベルで発生しているとこういう輪郭の違いに発生するわけですね。
みんなだいすき85mmレンズによるモノも良いですが、135mmというのもさらなる選択肢として存在しています。
最短撮影距離
F/2.8, 1/3200s, ISO/100, WB/5500
そしておもしろいのが、135mmレンズの最短撮影距離ですね。
最短撮影距離と言えば、大体レンズの焦点距離の1/10前後というのが定石ですが、中望遠単焦点である135mmレンズでは比較的1/10よりも短い最短撮影距離での撮影が可能になります。
例えば、このApo Sonnar T* 2/135では、0.8mでの撮影が可能です。
F/4, 1/160s, ISO/100, WB/4500
これは最短撮影距離に位置した場合、大体顔全面くらいのサイズにおさまる数字です。
つまりビューティーのようなクローズアップした撮影であっても、意外と対応できてしまったりするのですね。
前述のスタジオワーク写真として掲載した二枚ですら、撮影距離は1m以上になります。更によって撮影することも出来たわけです。
もちろん風景撮影でも
F/2, 1/5000s, ISO/100, WB/5500
例えばこれは、散歩中に見つけた桜を撮影したものですが、ほぼ最短撮影距離に近い状態でフレームに収めています。
小さい桜の枝先にフォーカスしながら、すぐ後ろにある花や背景を完全にぼかしきることができるわけですね。
お散歩スナップと言えば35mmくらいが定石だと思うのですが、あえて135mmを持ち歩いて身近なモノをクローズアップしていくというのも一つの遊び方。
135mmを使いこなす猛者
最後に、135mmをその世界観の演出に多用しているフォトグラファーを紹介します。
- 海外の500pxなどでも有名なロシアの誇る最強フォトグラファー Elena Shumilova
- 21世紀を代表するキッズフォトグラファー Lisa Holloway
- 日本SNSを代表するトップポートレーター Ilko Allexandroff
あまり周りに135mmを愛用しているという方がいないので紹介してみました。
ポートレートを主な被写体にしている方にはおすすめのレンズですよ。
ちなみにいまこちらのApo SonnarはMilvusとして刷新されていますが、旧型でも恐るべきまでの描写です笑
何か質問などがあればお気軽に
ではでは。