そうだ、ここに病院を建てよう。あ、失礼しました。突然ですが、写真を見て「震える」事はありますか?私はありませんでした。そう、このときまでは。そんな私の初めてを今回赤裸々に大公開したいと思います。申し遅れました、壊れてしまったうら若き乙女、すーちゃん(@iamnildotcom)です。震える手でお届けします。
その時は突然訪れた
ある日、弊社代表の黒田が憔悴しきった顔で事務所に戻ってきました。何があったのか恐る恐る聞いてみると、「福島裕二…」。一言だけそう呟くと、私と目を合わせないまま淡々と訳の分からない事を口走り続けました。
要約すると、福島裕二氏に関する以下のような内容でした。(おそらく)
- 愛の獣だ。
- 「オレはプロだから」を連呼しながら多くのプロが撮影できないであろう写真を量産している。
- モデルの9割が撮影中に涙を流すらしい。
- 何を言っているのか理解できなかった。
- 怪物。
この話が黒田の言うとおりであれば、それはもはや「カメラマンではないでしょう」と信じない私に、「それなら直接現場に乗り込んでこい」と命じ、彼は力尽きました。そんなこんなで、頭が「ハテナ」で埋め尽くされたまま、私は撮影レポートへ行く事になったのです。…正直言ってあんなに弱々しい彼をみたのは初めてでした。
福島裕二とは一体何者なのか
福島裕二とは一体何者なのか。ネットから入手した情報だと、
- 有限会社ハーベストタイム代表取締役
- 1992年、上野勇氏に師事
- 現在まで20年以上(私が2歳のときから!!!)プロカメラマンとして第一線で活躍
- 撮り下ろした写真集は50冊をゆうに超える
- 人物撮影を軸に、商業撮影、雑誌など多数の媒体にて活躍
ものすごい実績の方じゃないですか!でも普通のプロカメラマンと何がそんなに違うのかはプロフィールからは読みとれない・・・。
絶対強制理解(アブソリュート・センノウ)
であればもう直接会うのが手っ取り早い!行動も食べるのも人一倍はやいすーちゃんが、早速撮影現場にやってきました!まだモデルさんは来ておらず、福島裕二氏と、撮影スタッフの方々に迎え入れて頂き、そのまま席に座るや否や、これまでの福島裕二氏の作品を解説付きでご紹介頂くことに…!(いきなりきた…!ドキドキ)。
- いわく、初対面のモデルすら撮影で涙を流す
- いわく、それは「幸せの涙」
- いわく、モデルの友人すら知らない表情を引き出す事ができる
- いわく、マニュアルでピントを全て合わせている
- いわく、モデルの表情を瞬時に抑える瞬発力を持ち合わせている
なるほど、黒田さんの震えの理由がわかりました。いえ、わからされたと言ってもいい。なぜなら今こうして1時間半に渡り福島裕二の写真を見せつけられた私もまた震えと鳥肌と悪寒が止まりません。皆さんはきっと写真を見たいと思うことでしょう。見せられないことを惜しく思うと同時に、この圧倒的写真を前に心臓の鼓動が止まらない私のようにならなくてよかったとも思います。
「わたし、生きてる」
写真をみながら高鳴る鼓動に、心臓が動いていることを思い返し、生の実感を得ることができました。
撮影準備
既にお腹いっぱいで帰りたいと思っていたところ。モデルさんが到着。ヘアメイクの方に福島裕二氏は「病んでるように見えるからさっぱりした感じで。」と一言。…?これで指示は終わりなのでしょうか。それに対して「了解。」の一言で終わる阿吽の呼吸もつかの間。既に準備へと入っています。「マスター、いつもの」みたいな常連感満載ではじめましてのモデルを調理していく様子をみて、出だしから理解及びません。
「指示はそれだけですか?」と、思わず私が質問すると、「圧倒的技術力があるからどうとでも写ります。」という言葉が返ってきました。
圧倒的技術力があるからどうとでも写ります。
圧倒的技術力…ヘアメイクを凌駕する圧倒的技術力の存在をにわかには信じられなかった私は、この数分後、圧倒的に後悔する羽目になります。
圧倒的に撮影開始!
そうして圧倒的に撮影が開始します。
「最高の光が来る…」
福島裕二氏が、うつむきながらそっと呟いた刹那、やさしい太陽の光が後光となって氏とモデルを照らしはじめました。最高の光が一切の遮蔽物を介さず純度120%で9階にあるスタジオへと差し込みます。ドラマチックな幕開けに思わず息を呑み、「これぞエモ…」と一人感動しながらモデルを眺めると…。既に涙を流しています。
もう一度言います。
既に、涙を流しています。
私もこのドラマチックな幕開けに感動しながら自らの感受性に心を震わせていたつもりでしたが、いざ、撮る、撮られるという関係性の二人を目の前にしてみると私の感受性なんて味のないガムのようなものだったのです。だって目の前の人は涙を流しているんだからもう。勝てるわけがない。
「いいんだよ 前を見なさい」
優しく声をかける福島裕二氏。
私の耳が正常に機能していると仮定すると、モデルとの間にはこれまで一切会話は無かったはずなのですが、突然「いいんだよ」となにかを肯定し、さらに「前を見るように」と伝えはじめました。
その「前」という漢字一文字に込められた意味が、ありとあらゆる希望的な未来とか幸せとかそういう何かあたたかいものてきな意味であることに疑問の余地はありませんでした。
その時撮影した写真がこちら。
「あれ…涙って美しい……?」
ちなみに信じていただけるかは不明ですが、こちらは一切加工なし、撮って出しの写真であり、これから紹介していく福島氏の写真も全て撮って出しになります。終始穏やかに撮影は進んでいきます。この表情を即座に引き出すのが本人曰く「ポートレートは人間力」ということらしいです。こ、これが人間の為せる技とは思えません…。そもそも、この表情が引き出されたものであるということに驚きを隠せません。しかし目の前で実際に引き出されているところをみると、福島氏の「人間力」によるものであることについては、一点の疑いもありません。
それにしても、最初ここにくるまでは、「撮影するモデルの9割が涙を流す」という前評判に懐疑的だったことすら忘れていました。実際目の前にしてみると、彼女が涙を流していることには充分な必然性があるように思えるのだから人間力に脱帽です。
しかもそれが泣かせようとしているわけでもなく、自然現象として涙が流れているのだからもうなにも言うことはありません。
そもそも同じ人間なのでしょうか。いいえ、福島裕二です。
部屋になんておさまりきらない。世界に解き放たれる圧倒的人間力
ベランダに移動するも、福島裕二氏による「人間力」は留まることを知らずに、猛追していきます。
「人って美しいんだよ」
「悪い人になっていいですよ」
「負けないよ」
シャッターを切るごとにモデルに語りかける福島氏。先程からモデルさんは喋っていないのにどうやってコミニュケーションをとっているのかと疑問に思っていましたが、本人曰くモデルの心の声が聞こえているようです。というか、もしかしたら私に福島氏の心の声が流れ込んできていたのかもしれません。
そして語りかけつつも、「ちょっと前これる?背景に国立競技場写ってるから消したい」という言葉や、「そのあごにかかった髪をどかせる?」と緩やかに指示を入れていくスタイルは、モデルに話しかけながらも視野は広く、冷静に周りを見ている事が伺えます。
その時撮影した写真がこちら
思わず息を呑むような写真です。どこか思いつめているような張り詰めた表情にも、愛に満ちた優しげな表情にも、空虚で孤独な表情にも、万華鏡のような受け止め方が試される写真です。深い・・・。ただ一つ確かなことは「美しい」ということ。
部屋を変えて撮影
今度は部屋を変え、衣裳も下着にチェンジしました。ブラインドから美しい光が室内に降りそそぎます。さり気なくカーテンの紐をレールの上にくくりつけ、すばやく背景にいらないものを省いていく福島裕二氏。撮影の合間にも、ブラインドで光の加減を随時調整して圧倒的繊細な明るさを表現していました
人間力だけではなく技術力も半端じゃないことが伺えます。なかでもモデルとのコミニュケーションが第一の様子です。撮影している細かい気遣いが半端じゃありません。「違うな。その気持ちじゃない。息止めて。そう、そうだね。その気持ち。」「どうしてそんなに俺を試すの?いいところで逃げようとしちゃダメだよ。」モデルさんの心の動き一つ一つまで見えている様子です。というかさっきからやはりどうしても一人で喋っている気がするのですが気のせいですか?傍から眺めながらも同じ女性として、なんだそのレディへの半端じゃねェ気遣いはという気持ちで溢れていました。
弘法筆を選ばず
撮影中に、急にこちらを福島裕二氏が振り向き「そのカメラ貸してくれない、どうやって使うの?」と気まぐれな一言を無邪気に放ちました。
口をぽかんとあけて、ただただ目の前の光景に圧倒されていた私は、突然の言葉に驚きながら「YEAH」と軽快に返事をしてノールックで手に持っていたライカQを手渡しました。虚空を見上げながら「今は真ん中にピントが合うような設定になっています」とだけ伝えると、氏は慣れた様子で「OK」と一言。
すかさずシャッターを1枚切ったかと思うとすぐにライカQを返されました。
その時、撮影された写真がこちら
身体中の肌から鳥肌が立ち、涙が頬をつたい、体脂肪率が体感5%ほど下がり、今日もどこかの国のGDPが上昇しました。「私のカメラって、こんなにキレイに写るんだ。」と。そして何故か心の中で「お母さん」と叫んでいました。無邪気に人の心を折ってくる姿は天使のようにも悪魔のようにも感じられます。
更なるショータイムの幕開け
日も暮れてきた頃、さらに突如振り返り、撮影を見学していた私ともう一名の女性スタッフに対して
「これ以上は、うら若き乙女の理解を超えてしまう」
と、言葉を放つ福島氏。
自分がうら若き乙女だったという衝撃の新事実を突如知らされることになるとは思いませんでした。
「ここから先はリングにあがった獣だけが体感できるフィールドである」と、「その姿のまま君についてこれるのかい?」と、福島裕二氏の心の声が実際に放たれた言葉以上に私の心の臓へと突き刺さります。一体これ以上どんなショータイムが始まるというのか…戦慄せざる得ない中、それは突如はじまりました。
「貴方の人格は2人じゃないですね 6人くらいいる」
なんという事でしょう。眼の前にいるモデルはどう見ても1人のはずですが…福島裕二氏からはモデルの人格が見えていて、しかも現在その人格は6人に達するようです。この発言に、自分の耳を疑った事は言うまでもありません。これは撮影でしょうか、カウンセリングでしょうか。しかし、その発言にモデルさんはなんと…
「でもこれはオリジナルの私じゃないんですよ」
と返答。会話が、「か、噛み合っている…!?」この二人、撮影を通して共に海底2万マイルほど深い理解の境地に達していています。うら若き乙女である私の理解を超えています。
「大丈夫。オレも6人いるよ」
と福島裕二氏。もう何もこの会話に疑問は感じなくなってきました。
というよりも、私にはもしかして「私」がいま認識している「私」と、「うら若き乙女」の私がいて、もしかしたら「私」と「うら若き乙女」を認識する「私」がさらに存在しており、何なら「うら若き」と「乙女」はそれぞれ別の人格で、厳密には私にも「私」と「うら」と「若」と「き」と「乙」と「女」がいて計6人ということになるのでしょうかそれをみこしてうらわかきおとめとこえをかけられたということでしょうかなんということでしょうこのすうじかんのあいだにさつえいされているわけじゃヶrjうぇあいるわえlkjfわえlrうぇl
(いいんだよ 前を見なさい)
はっ、危なかったです。先生の戒禁でどうにか戻ってくることができました。はい、お母さん、わたし前を見ます。
最早、言葉なんていらない
そんな会話が繰り広げられる中、スッと突然上を指差す福島裕二氏。いまは亡きフレディを彷彿とさせるそのポーズは、無言の圧倒的な指示となりモデルさんは自然と上を向きました。一流ともなるともはや言葉なくとも撮影は進められる様子です。達人の所作は動作の一つ一つを取り上げても流れる動きに無駄がなくシンプルで美しいと言います。これは武道経験ゼロの私が自信を持ってお伝えできますが、武道の型に近いものがあるようにかんじられました。
撮影された写真はこちら
可愛らしかったモデルさんの表情が一変。確かに、新たな人格が出現しているように見受けられます。
とにかく、写真に説得力がありすぎる
二人の間に説明なんてそんな野暮なものは、いらないのでしょう。今まで耳を疑っていた自分の心が汚れていたような気さえしてきます。
またワンフロア頂へと近付いてしまう
屋上へ移動します。あたりは日も落ちて真っ暗。その中でも、氏はなんと手持ちで撮影を開始しました…。手ブレという概念のない世界線で福島裕二氏は生きているのでしょうか。
途中から、RX-18TDという定常光のライトを使用しはじめました。一応機材名を教えていただいたので皆さんにお伝えしますが、おそらく彼の場合このRX-18TDが仮に「ちくわ」か何か別のものであったとしても問題なかったのだろうと思います。
直接ライトをモデルに当てるのかと思いきや、ライトは下に向け、微かな光で薄明かりを作り出しています。こうして繊細に光を使う事で、自然とモデルの顔を暗闇から浮かび上がらせる事ができるみたいです。角度も少しづつ繊細に調整しながらライティングを行なっていました。
太陽も沈み暗い中、手持ちのマニュアルピントで撮影する福島裕二氏。正直言って私には目の前すらよく見えない明るさでしたが、人格が見える福島氏から比べたらこのくらいの暗闇は日中に等しいという点はもはや言葉にする必要もないでしょう。そろそろ驚いたことに突っ込むのも疲れてきました。何もかもが規格外すぎる。
いまのところ、何も真似できないという圧倒的事実だけがわかっています。
思いは写る
「思いは写るんだな」と福島裕二氏は言いながら、撮影した写真がこちらです。
これが圧倒的技術力!
暗い中で妖艶に浮かび上がるモデルの表情。先程屋内で撮影していたモデルとはまた全く異なる表情を引き出しています。
撮影終了!
撮影が終了し、撮った写真をパソコンに取り込んでいます。そして、モデルさんにはその場でセレクトをしてもらうという流れ!早い早すぎる!しかも、そのままその場でモデルさんのiPhoneへと送信する福島裕二氏。内心、「こんなにデータの受け渡しって簡単でいいの!?」と動揺を隠しきれませんでした。当の本人はいつも撮って出しノーレタッチで画像を即納品するそうで…ハイスピードすぎて止まらない震えがやはりここでも止まりません。そろそろ震えすぎて消費カロリーが1万キロカロリーに達しそうな気配です。
モデルにいろいろ聞いてみた
今回の撮影では、はっきり言って謎が多すぎた為、モデルサイドの望月まことさんから今日の撮影について根堀り葉掘り聞いちゃいました!
撮影初っ端から涙を流した理由
「どこまで受け止めてくれるのか試したい気持ちと、服が気に入らなくて気分が落ち込んでいました。」
(服が気に入らないとか普通に誰にでもあるよ…まったく涙の理由にはなってない…)
気持ちが通じ合えたと感じますか?
「はい、撮影では気持ちが通じ合えました。自分の感情をここまで出してもちゃんと写真として形にしてくれる事に、そして撮影に対して、人と向き合うことに対しての愛情の深さを感じました。 間違いなく神の申し子です。もはや人間じゃない。規格外です。本人が思っている以上に。」
人間じゃないという点にはスタッフ一同が同意しています。
何度も涙を流した理由
「子供が泣くときなんかの涙で、1回泣いていたら、大丈夫だよと保護者とかに受け止めてもらったら安心して笑いながらもう一度泣いてしまう、なんていう涙があると思うんですが、そういう涙に近いと思います。ここまですべて受け入れてくれる人はいなかったので…。」
(だからあの笑い泣きのような絶妙な表情に…?)
また撮られたい?
「撮影の感想は、今、私は幸せっていうことです。また撮られたい!」
(まるで一週間ぶりの入浴かのような清らかな笑顔で去っていく望月まこと氏)
幸せ一杯の感想
以上、モデルさんからの回答でした!疑問の謎は解けずに深まるばかりでしたが、深い理解の上で撮影が行われていたという事を裏付ける内容でしたね!とにかく福島裕二氏は人間を超越した神の申し子みたいです。
もはやポートレートとかそういう次元ではない。
福島裕二氏にインタビュー
今度は、福島裕二氏に疑問や撮影の事を根掘り葉掘りきいた結果をなんとか咀嚼して私のダイイングメッセージとしてここに書き記していきたいと思います。
オレが撮ったら9割泣く
「オレが撮ったら9割泣く」と断言する福島裕二氏。一度聞いたら耳から離れず夜も眠れなくなりそうなこの言葉。一体どういうことなのか伺ってみると、
「モデルの外側を撮る気は無い。内面を撮る。」
という回答が帰ってきました。カメラで人の内面を撮る、というのはフレーズはこれまでも聞いたことのあるセリフではありますが、氏の写真を見れば如実にその意味は理解できてしまうのが凄いところです…。内面を撮るどころか、内面を浄化(パージ)しているような気すらしたので、言葉にするとこうも陳腐になってしまうのかと驚いています。しかし安心してください。圧倒的説得力をもった写真がコチラです。
しかし、それが何故撮れるのか、人類を代表してここは私が暴いていかないといけないという責任感から、どうやったら内面のその人本来の「表情」を引き出せるのか聞き込んでいきました。
心を震えさせる
その方法は、撮影で緊張や不安があるようなモデルには「大丈夫?」と問いかけて少し安心させてから、畳み掛けて深い心の部分に追い込んでいき「心を震えさせる」事だそうで…なるほど。聞いてみれば簡単。「サッカーで点を取りたいならボールを蹴ればいいんだ」的な圧倒的正解なアドバイスを頂きました。ありがとうございます。
震えさせる写真とは?
自分の写真は「人の魂を震えさせる写真」と断言する福島氏。それは、震えながらこの文章を書いている私が保証しましょう。
そもそも「魂の震える写真」とは何か?それは「その人の持つ空気を撮らないと震えないだそうで…なるほど、ヒトノ・モツ・クウキ。なるほど。ヒトノ・モツ・クウキとはつまり、シンジツ・ヲ・ウツスことであり、そうしてみてはじめて、タマシイノフルエルシャシンになると…。(精神崩壊)。福島裕二氏の写真展に来る女性には、ほぼ100%その「真実」が伝わり、写真の前で動けなくなったり涙を流す人が多いそうで、実はモデルの望月まこと氏も、展示に来たことがきっかけで知り合われたそうです。本物の写真には、強いエネルギーがあるのでしょうか、福島氏の写真を見るのがもはや恐ろしくなってきます。
人か、人形か
「人間を撮ってるのか?人形を撮っているのか?」と僕はよくカメラマンに聞くんです。という福島裕二氏。すかさず私は「人形を撮っています」と言いました。これまでモデルをしてくれたみんな、ごめん。そう内心思いながらも答えざるを得ないだけの怪物が目の前にいたのです…。
撮って出しでも大丈夫な理由
撮って出しでいつも画像を渡している福島氏は、「撮って出しでも大丈夫な理由」をこう言います。
「プロだから、瞬時にカメラで見た時と、目で見た時の違いを合わせられるから。」
プロ云々より前に戦闘力が高すぎる…。「それがプロなら私はプロを諦めるしかないのでは?」という疑問を頭の片隅に追いやって、お母さんに会いたい気持ちを押さえながら福島氏の話を引き続き聞いていきました。
「ノーレタッチでも明らかに顔が違う」
そう仰る福島裕二氏。確かに、今回冒頭で色々と見せていただいたこれまでの写真や、撮影の写真も、同じモデルとは思えないような別人のように見えるカットが沢山あります。その写真を見せられながら、「これがクオリティ」と言い放つ福島氏を前に、私が「クオリティ」という単語を二度と使わないことを天に誓ったことは言うまでもありません。
救ってあげたい
「救ってあげたい子がいっぱいいる」
今後の人生で忘れられないような話を今回沢山聞きましたが、その中でも印象に残ったのがこの言葉。カメラマンとして有名になりたい訳じゃなく、もっと多くの人を救っていきたいのだそう。ドクター(福島裕二氏)にとってポートレートはオペ(人助け)の一貫だったようです。
「その子の人生を変えてあげたいと思って撮っている。本気で。だからありふれた写真とは違う。だから魂が震える。」
この言葉に、私も震えます。モデル(患者)と書いて患者と向き合っているドクター(福島裕二)はここまでのパッション(圧倒的技術力)を持ってオペ(撮影)に挑んでいるみたいです。
一体どうやったら人を救うことが出来るのか、それは「その子が求めているものになっているだけ」らしい。いや、それが常人じゃその姿になれないんですが…(汗) それが出来てしまう福島裕二氏だからこそ色んな表情を切り取ることが出来るということなんですね!…理解できているわけではありませんが写真が証明しているので理解せざるを得ません。
しかし、そんな福島氏も撮影中に泣く時があるとか。
モデルが頑張ってる気持ちを「頑張らなくて良いんだよ、ありのままでいいんだよ」と、楽にさせてあげたいと思うからこその涙。。今日の撮影を見ただけでも、その愛情は伝わってきます。そこまで寄り添うからこそモデルもこの人にならすべてを見せられると思えるのかもしれませんね。
圧倒的技術力とは愛のことだった。
「俺が女の子を撮ると彼氏に恨まれると思う。だって彼の愛が100だとしたら、俺の愛は60億だから」
フリーザでさえ53万のところを、福島裕二氏は60億。福島裕二氏が1名いれば地球の総人口を、性差問わず殆どカバーできる計算になります。もちろん、女性限定ということであれば、世界中の女性人口が2倍になっても対応可能な計算になりますね。更に6,000万人の女性と恋人関係になっても破綻しないだけの愛を資産として持っている計算となり、これは日本人女性を年齢差問わずすべてカバーできる数値に至ります。この6,000万のうちに私が含まれていることは言うまでもありません。
また、あなたのお母さん、おばあさん、妹、お姉さんも、全て当てはまります。
もちろん、60億というのはなにかの冗談だと思いますが(そうであってほしい)、あまりにも大きすぎる愛情が説得力をもたせています。