あえてマニュアルフォーカスを選ぶ5つの理由

Nov. 25. 2016

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マニュアルフォーカスよりもオートフォーカスの方が良いじゃない。そんな風に思っていた時期が僕にもありました。こんばんは、ピントが合っていない理由をゆるふわで済ませるカメラ女子、あきりん @crypingraphyです。

マニュアルフォーカスのススメ

所有レンズの半分以上がマニュアルフォーカス

いま所有しているレンズが、全て合わせて10本なのですが、このうち6本がマニュアルフォーカスで、オートフォーカスは4本しかありません。
半数を越えてるんですね、いま思えばちょっと狂ってるかもしれません。
しかし自分は雰囲気やマニュアルフォーカス使ってるオレかっけー!とかいうタイプでもなく
わりと合理的な性格だと思うので、マニュアルで撮る理由がいくつかあります。
人にすすめても「マニュアルはちょっと…」という人が多いので、この機会にちょっとまとめてみようと思います。

マニュアルフォーカスで撮影した写真

まずはMFで撮影した写真を5,738枚紹介します。

Leica M typ 262, Summilux 50mm F1.4 ASPH
Leica M typ 262, Summilux 50mm F1.4 ASPH
Leica M typ 262, Summilux 50mm F1.4 ASPH
Sony A7R II, Carl Zeiss Distagon 35mm F1.4 ZM
Leica M typ 262, Summilux 50mm F1.4 ASPH
Leica M typ 262, Summilux 50mm F1.4 ASPH

ちょっと貼りすぎてしまったかもしれません。四捨五入して七枚でした。

マニュアルフォーカスでなければ撮れなかった。

これら七枚の写真は、MFでなければ撮れなかったと思われる写真を選びました。

それは何故か。

その時にしか訪れなかった瞬間だったものだからです。
いずれもモデルがゆっくりと動いている途中や、吹き荒れる風などの中で、写すことのできた表情なのですが
オートフォーカスで待っていたり、ギーギー頑張ってピントを合わせようとしているところに、その瞬間が訪れてくれるとは限らないですよね。

その理由を五つ説明します。

MFを選ぶ五つの理由

自分がポートレートを撮影するというところもそうですが、マニュアルフォーカスであることを問題にしがちなポートレートなので、今回はポートレート中心の話になります。が、これは別にポートレートに限った話ではありません。

押したら撮れる

「カメラなんだから当たり前でしょ?」と言われるかもしれませんが、オートフォーカスのレンズでは
カメラが「ピントがあったよ!」と判断したタイミングにならないとシャッターを押せません。
正確には、設定で変えることができるのですが、オートフォーカスというのはその性質上、
迷った時に、ピントをあわせるためにピントリングを大きく動かします。
つまり、写したい一瞬が訪れた時に、オートフォーカスは明後日の方向を向いている可能性があります。

それで撮りたい一瞬を逃した経験が誰でも一度はあるんじゃないでしょうか

ピントの合っていない撮りたい一瞬は、ピントの合った撮りたくもなかった瞬間に勝る。と自分は考えます。

左手でピント、右手でシャッター

マニュアルフォーカス専用のレンズは、当然自分でピントリングを動かす必要があるので
そのピントリングの作りというのが非常に滑らかで、オートフォーカスとは別の意味で、職人たちが少しでもピントを合わせやすいように工夫と研鑽を重ねた技術の粋が詰まっています。
オートフォーカスのピントリングではそうはいきません。(オートフォーカスでも気を配られたものはありますが)

左手でピントで合わせながら、大体合っているところまでもっていくのは、簡単です。
問題は、精密なピント合わせが動体に対して難しいということなのですが、
上でも書いたとおり、ピントを回しながらシャッターを押せます。

いつでも押せる状況にしておきつつ、ピントリングを回して適切な構図とタイミングを模索する。

ポートレートの話で言うと、シャッター音というのは、モデルとの対話みたいなところがあるので、シャッターを押す際には注意が必要です。
慣れているモデルであれば、シャッター音に応じて動いたりしてくれるので、そのあたりの相性とタイミングを見計らうことが大切だと思います。
が、逆に言うと、オートフォーカスでは、いくら早くても半押ししてフォーカスロックしなければならず、ちょっと気を抜いて指を離してしまった時にはまたピントを合わせ直しというリスクがあります。

写したいモノを写すということに注力できるのがマニュアルフォーカスなのです。

より正確なピント合わせが可能

オートより正確なの?ということですが、いつの時代も人間の手というのは精密です。
例えば被写体の顔を写そうといった時に、手前の眼にピントを合わせるというのは基本です。
後ボケというのは絵的にも問題ないのですが、前ボケというのはうまく使わないとただの失敗写真と見られがちですからね。

そこで、例えばオートフォーカスであれば、大抵の人はシングルポイントフォーカス、つまり一点測距を使用して
手前の眼にピントを合わせて、シャッター半押しやその他のボタンでロックということをしていると思います。
この時にモデルが少しでも動いてしまったりするとピントを合わせ直しですよね。
これは避けようのない問題ですが、そんな時でもMFであれば、ちょろっと左手でピントリングを動かすだけ。これならAFよりも早く合わせ直せます。

更にファインダー上でシングルポイントを決めるにあたって右手でフォーカスポイントを変更したりしなければいけない。
それはそれで早いし良いのですが、ちょっと直したいときなんかは
マニュアルフォーカスであればちょっと左手でピントリングをいじるだけです。

更に、最近のデジタルカメラであればライブビューを使用すると拡大することができます。
拡大した映像をマニュアルでピント合わせするというのが一番正確なのは言うまでもないですよね。
自分はα7R IIの場合、たいていそうやって撮っています。

たまにAFのレンズを使うとその感覚で撮影できないので逆にもどもしてしまいます。
(SonyであればDMFという機能を使って、AF利用でピントを合わせたあとに微調整はできますが)

AFより早い状況がある

オートフォーカスには、種類が色々あるのですが、基本はコントラストAFと位相差AFという二つに大別されます。
詳細は省きますが、コントラストAFというのはいわゆるライブビュー時に採用される方法なのですが
非常に正確ながら非常に遅いので、マニュアルフォーカスの方が遥かにはやく、比較対象にはなりません。

マニュアルフォーカスと常に比較されているのは、光学ファインダーをのぞいたときに採用される位相差AFというものなのですが
これは被写体のエッジが明確でなかったり、同じパターンの繰り返しになっていたりすると弱かったりします。
また、コントラストAFの場合でも逆光や暗所の場合には、勘違いして合っていないところを合っているように判断してしまったり。

これでジージーフォーカス音が鳴りながらモデルを待たせしまっていては、あまり空気が良いとはいえないでしょう。
そんなときにもマニュアルフォーカスでは、素早く撮影することができます。
合うまで延々と待たせるモノよりも、自分の手足のようにそのタイミングで動かせるモノのほうが良いと思うのです。

ゾーンフォーカスが早い

ゾーンフォーカスというのは、被写体との距離を目測ではかり、ピントリングにある距離である程度設定しておくことを言います。

ピント合わせの位置を適当なイメージアイコンで示してあり、被写体までの距離に応じてそれらを選ぶ事でピント合わせを行おうとするもの。カメラに詳しくないユーザー向けのカメラに搭載されてきたが、オートフォーカスの性能が上がってくると、慣れが必要なゾーンフォーカスは廃れていった。
人のアップ、人間のグループ、遠景などのイメージが図示されている。このイメージはゾーンマークあるいは距離ピクトグラムといい、その数が3つのものを3点ゾーンフォーカス、4つなら4点ゾーンフォーカスなどと呼ぶ。ほとんどのゾーンフォーカスカメラはゾーンマークの部分にクリックをつけて、指標に簡単にゾーンマークをあわせられるようにしている。旧式のカメラでは、「PORTLAIT」「GROUP」「SCENE」などのように英語でゾーンを表している場合もある。

Wikipedia「ゾーンフォーカス」

マニュアルレンズの場合、大抵ピントリングをみると、F値ごとに被写界深度がざっくり記載してあります。
あの並んでいる数字には意味があるのですね。
これはレンズ固有の値なので一概には言えないですが、例えばF16の時に設定して5m先に被写体がいるとすると焦点距離4mから7mまでピントが合うといったことがわかります。

なので被写体との距離を目測でざっくりはかって、そこにピントリングを動かしておく。
それからカメラを構えて、絞っているのならそのままシャッターを押すだけなので当然AFより早い。
ピントが浅いのであれば、大体合っているところからピントを合わせたら良いだけなので、上述のようにAFより早いのです。
まあ、と言っても自分自身これはまだ練習なんですけど、確実に効果はあります。
本当に一瞬を捉えたいストリートスナップなどでは昔から有効な手段のようです。

まとめ

以上、マニュアルフォーカスのススメでした。

マニュアルフォーカスだからこそ、良いレンズというのはたくさんあるので試してみてはいかがかしら。
マニュアルだからいやだー!と言っている人がこれで少しでもその苦手意識から、興味へ変わってもらえたら嬉しいなあ。
あと、オートフォーカスの良さは当然語りきれないほどあって、自分の場合は焦点距離と用途に応じて使い分けています。
そのあたりもまたお話しますね。

by Akiomi Kuroda

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