クリエイターやフリーランスの働き方とお金の課題を現場で見てきた筆者の視点から、2025年のルール改正後も損をしないために知っておきたい、ふるさと納税の重要ポイントを解説します。
フリーランスとして働いていると、住民税や所得税の負担は避けられませんよね。毎年数十万円を納税している方も多いはず。
ここで一つ質問です。
いずれにせよ払わなければいけない税金なら、税額控除を受けながら地域の特産品も楽しめる制度があったら、利用したいと思いませんか?
これがふるさと納税の魅力です。実質2,000円の負担で、各地の特産品を楽しめる。支払う税金の総額は変わらないのに、返礼品がもらえる分だけお得というシンプルな仕組み。
2025年10月から制度が変わりましたが、この基本的な魅力は全く変わっていません。むしろ、ポイント還元がなくなったことで「本当に欲しい返礼品」「応援したい地域」を選びやすくなったとも言えます。
この記事では、制度変更の内容を確認しながら、クリエイター・フリーランス目線で押さえておくべきポイントを一緒に見ていきましょう。
【まず確認】2025年10月に変わった3つのルール
2025年10月から、ふるさと納税制度に3つの変更がありました。まずは全体像を表で確認しましょう。
| 変更項目 | 2025年9月まで | 2025年10月以降(現在) | クリエイターへの影響 |
| ①ポイント還元 | ポータルサイト独自のポイント付与あり(最大30%超) | ポイント付与完全禁止 | ポイント目当ての選択から、純粋に欲しい返礼品を選ぶ形へ |
| ②経費ルール | 返礼品+送料等で50%以内 | 事務費等も含めて50%以内に厳格化 | 返礼品の内容量減少や寄付額上昇の可能性 |
| ③返礼品基準 | 熟成肉・精米は他県産でも条件付きOK | 原材料も地場産品に限定 | 人気返礼品の選択肢が一部減少 |
この3つの変更は、総務省が「地域応援」という本来の趣旨に立ち返るために実施したものです。でも安心してください。
「実質2,000円で返礼品+税控除」という基本構造は何も変わっていません。

変化点①ポイント還元終了─でも制度の魅力は変わらない
ポイント還元は終了したけれど
2025年10月以降、楽天ふるさと納税や”さとふる”など、各ポータルサイトが独自に行っていたポイント付与は完全に禁止されました。モッピーやハピタスといったポイントサイト経由のポイントバックも対象です。
ただし、クレジットカードのポイントは継続!
クレジットカード決済によるポイント還元は規制対象外です。還元率1%のカードで5万円寄付すれば、500円相当のポイントは今後も獲得できます。
本質的な魅力は変わらない
ポイント還元がなくなったことで「損した」と感じるかもしれませんが、少し視点を変えてみましょう。
ふるさと納税の本当の価値は、ポイントではなく「返礼品」にあります。
例えば年収500万円のフリーランスなら、上限額は約6万円。この6万円、いずれにしても住民税として納める金額です。ふるさと納税を使わなければ、納税するだけで終わり。でもふるさと納税を活用すれば、同じ6万円で約2万円相当の返礼品(還元率30%想定)が手に入るわけです。
- ふるさと納税なし → 6万円納税、返礼品なし
- ふるさと納税あり → 6万円納税、約2万円相当の返礼品
せっかく払わなければいけない税金なら、税額控除を受けながら返礼品ももらえる制度を利用しない手はありません。
制度変更後の賢い活用法
- 高還元率クレジットカード(1.0%以上)を活用
- ポイントより「本当に欲しい返礼品」を選ぶ
- 応援したい地域という視点も大切に
変化点②経費・返礼品ルール厳格化の影響
自治体が使える経費を「寄付額の50%以内」に抑える「5割ルール」が厳格化されました。ワンストップ特例事務費・受領証発行費・ポータルサイト手数料なども経費に含まれるようになり、自治体は実質的に使える予算が減少しています。
返礼品への影響
一部の自治体では以下の対応が見られます。
- 返礼品の内容量を減らす
- 寄付額を引き上げる
- 返礼品のラインナップを見直す
また、地場産品基準も厳格化されました。
- 以前: 他県産の牛肉を地元で熟成 → OK
- 現在: 原材料も地場産品に限定 → NG
でも心配無用
制度の厳格化は、長期的には自治体の健全性につながります。そして、返礼品の魅力自体は健在です。
新しく登場した地元産返礼品を発掘する楽しみもありますし、内容量より品質を重視した選び方もできます。せっかく払う税金なら、こうした「選ぶ楽しみ」も含めて返礼品を受け取った方が賢明です。
変化点③【最重要】フリーランスの上限額計算の注意点
ふるさと納税で最も注意すべきなのが、控除上限額の計算です。フリーランス・クリエイターは収入変動が大きいため、会社員より計算が複雑になります。
よくある失敗パターン
- 年初の好調時に上限いっぱい寄付 → 年後半に収入減で控除しきれず
- 大型案件で年末に収入急増 → 寄付のタイミングを逃す
- 想定外の経費で所得が減少 → 上限額を超過
上限額を超えた分は全額自己負担となるため、慎重な計算が必要です。
【安全策】上限ギリギリを狙わない
フリーランスの収入は12月末まで確定しないため、シミュレーターで出た上限額いっぱいまで寄付するのは実はリスクがあります。
よくあるのが「年初に上限10万円と計算して寄付したけど、年後半に案件が減って実際は8万円しか控除できなかった…」というパターン。2万円分は自己負担になってしまいます。
こうした失敗を防ぐには、予測額より少し控えめにしておくのがコツです。 上限10万円なら8万円程度、上限5万円なら4万円程度に抑えておけば安心です。
上限額の簡易計算
- 前年の住民税決定通知書で「所得割額」を確認
- (市民税所得割額 + 県民税所得割額)× 20% = 目安
- シミュレーター(ふるさと納税サイト等)で試算
- 予測額の8割程度をターゲットに
年収別上限額の目安
| 年収 | 独身・共働き | 配偶者あり |
| 300万円 | 約28,000円 | 約19,000円 |
| 500万円 | 約61,000円 | 約49,000円 |
| 700万円 | 約108,000円 | 約86,000円 |
※青色申告特別控除等は未考慮
確定申告を忘れずに
フリーランスはワンストップ特例制度が使えません。2026年3月の確定申告で以下の手続きが必要です。
- 確定申告書第一表「寄附金控除」欄に記入
- 計算式: 寄付額合計 − 2,000円
- 寄附金受領証明書を添付
返礼品の合計が年間50万円超の場合は一時所得として課税対象になる点にも注意しましょう。

【実践ガイド】クリエイターのふるさと納税活用法
制度変更後も、「実質2,000円で返礼品+税控除」という基本メリットは変わりません。クリエイター・フリーランス向けの賢い活用法をまとめました。
✓ 急いで上限額を再計算
- 今年の収入がある程度見えてきた段階で
- シミュレーターで正確な上限額を確認
- 予測額の8割程度をターゲットに設定
- 12月までに寄付を完了
✓ 高還元率クレカで決済
- 1.0%以上の還元率カードを準備
- 年間決済額でポイント倍増するカードも検討
- ふるさと納税専用カードを決めておく
✓ 複数回に分けて寄付
- 年初に半分、年末に残り半分
- 収入変動リスクを分散
- 返礼品を複数の時期に楽しめる
✓ 「本当に欲しい返礼品」で選ぶ
ポイント還元がなくなった今こそ、本来の楽しみ方ができます。
- 食品: 日常的に食べる米・肉・魚
- 日用品: トイレットペーパー・洗剤
- 地域特産品: その土地でしか手に入らないもの
- 体験型: 旅行券・宿泊券
払わなければいけない税金で、こうした返礼品が受け取れるなら利用しない手はありません。
✓ 確定申告の準備
- 寄附金受領証明書は専用ファイルで保管
- 電子証明書対応サイトなら管理が楽
- 2026年3月の確定申告まで大切に保管

まとめ─2025年以降も賢く活用するために
2025年10月からの制度変更、3つのポイントをおさらいしましょう。
①ポイント還元終了(クレカポイントは継続)
お得度は下がりましたが、高還元率カードを活用すればメリットは維持できます。そして何より、「返礼品」という本質的な価値は不変です。
②経費・返礼品ルール厳格化
一部返礼品に影響がありますが、新しい魅力的な返礼品の発掘も楽しみの一つです。
③フリーランスは上限額計算に注意
予測額の8割程度に抑えておけば安心です。フリーランスはワンストップ特例制度が使えないので、確定申告での申請も忘れずに。
制度の本質は「同じ税金で返礼品がもらえる」こと
制度変更は、「地域応援」という本来の趣旨への回帰です。でも、ふるさと納税の基本的な仕組み─実質2,000円で返礼品+税控除─は何も変わっていません。
繰り返しになりますが、いずれにせよ払わなければいけない税金なら、税額控除が受けられて返礼品ももらえる制度を利用しない手はありません。
年収500万円なら約6万円、年収700万円なら約10万円。この金額、ふるさと納税を使わなければ納税するだけで終わります。でもふるさと納税を活用すれば、同じ金額で数万円相当の返礼品が手に入ります。
今年の年末(12月末)までが2025年分の寄付期限です。なるべく早く上限額を再計算し、12月中に寄付を完了させましょう。
クリエイターとして、賢く、そして楽しく活用していきましょう。

